#16 孤独主義者の友だち論

 むかし事情があっていつの間にか携帯電話の番号が変わってしまい,気づいたら友だちをごっそり失っていたということがあります.元々,そんなに電話がかかってくるような人でもなく,友だちのとても少ない孤独主義者の私だったのですが,話したいときに話せる人も居らず困ったという経験をしてしまいました.しかし,最近はオンライン上で見ず知らずの人とチャットしたり,会話したり,ときにはオフ会といってリアルで出会ったりする機会も増えているような気がします.これだけ,見ず知らずの人と出会う機会が多ければ,その中のひとりやふたりは仲良くなる人も居ることでしょう.
 ところで,「量より質が大切だよ」なんて言葉もありますが,先に量をこなせなければ質も高まらないような気もしますし,量も質も大切だというのが真理ではないでしょうか.友だちの極めて少ない私であっても,そういった質のよい友だち以上の関係の人というのが2~3人やはり居ります.というより,友だちの方が居なくて友だち以上の関係の人という方が"居る"と感じてしまうように,長くて深い付き合いをするそういった人が居れば,友だちの有無というのは意外にあまり気にならないのかも知れません.そのようなことから,友だちというものはおそらく社会的な時や場で過ごす,いわば学校でともに過ごす仲間みたいなものなんでしょう.それは,決して親友/恋人,あるいは伴侶でもないもので気を利かすではなく"気を遣わなければ"ならない人間関係だと今では考えてしまいます.ですから,そういった交際上の気遣いができなかったり,無頓着とおもわれる人にはその友だちというのはあまりできないのかも知れません.ただ,私自身の過去の経験からいえば,友だちというものは決して友だち以上の関係と呼べるような身内というものでもなく,それは"世間"に近いものかなと.評判とか印象とかでその関係性が左右されるものであって,本当の意味でお互いを見て知っている,とくに許しあっているというような人間関係ではないのだと今,振り返ってしまいます.だから,あまり友だちというものに期待する必要も,失望する必要もないのかも知れません.そして,友だち友だち……などと求める前に,まずはちゃんと自分自身と最良の友だちになれるように,日々を暮らしてゆけたら幸せかな,そういう中で自然に友だち以上の関係の人とも出会うかなという実感です.

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