ひとりごと
顔を見ればにじみ出る。
吉本ばななさんのエッセイを読んで、朝から不思議と落ち着いた気持ちになる。
ずるができなさそうな顔、嫌味のない顔、全部全部、顔に出るのだ。でも、それほどまでに誰かの顔をしかと見た記憶がない。よくよく見ないと、それはわからない。
そういえば昨日見た工場のおっちゃんは、厚みのある顔をしていた。現場も、リーダーも経験して、どちらの辛抱もわかる人だと聞いた。きれいにきれいにしてきただけじゃ、なれない顔だった。生きてきた背景がちゃんと顔に表れていた。
明るく元気な顔を最近していないぞ、動物を見習おう。秋が気持ちよくて歩いてるだけで幸せな日があった。生きているのが幸せだった。そこには音楽と、気持ちのいい風と、パン屋と、水筒に入れた紅茶があればよかった。私は生き物だった。
悪口を言わない、気持ちのいい会話ができるおばあちゃんの集団になりたい。温泉に入って気持ちいいねと言って、お酒を飲んで極楽だねと言って、周りに迷惑をかけずに、でも茶目っ気のある、そんな生き物になりたい。いい加減は投げやりじゃなくて、みんなにとってのいい湯加減みたいなもので、その塩梅を考えられる人になりたい。それには色んな人をちゃんと見ることだ。
意地悪そうな人や、利己的な人は、なんとなく分かる。つもりになっている。利己的な人は特に苦手で、怖いな、と思う。人を操ってる人も、過敏に反応してしまう。ただ、そういう人なんじゃなくて、そういう面がある、ということは覚えておく。きっと私にもある。
作家は書くのが好き、嫌いではなく、書く訓練をされたプロ。身体がそれに順応しているらしい。私はわからないことをわかるようにしてきちんと収めたい。うまくできると嬉しくて、ハッピーになるし乗ってしまう。ハテナボックスをあけて、格闘して、きれいに収める。ハグちゃんのシーンを思い出す。選んできたことは間違ってなさそうだ。