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SansanのMixpanel活用
はじめに
こんにちは、営業DXサービス「Sansan」のプロダクトマネジャーを担当している乙幡です。
先日、Mixpanel様のカスタマーフォーラムやProductZine Day 2024 Summerにて、「SansanのMixpanel活用」についてお話しする機会をいただきました。今回はその内容を皆さんと共有したいと思い、この記事を書きました。
Mixpanelを使い始めた時期と理由
Sansanでは2014年からMixpanelを導入しています。当時、SansanのLite版を海外展開するにあたり、低コストでユーザー分析と利用促進の仕組みを構築する必要がありました。さまざまなツールを検討した結果、要件に合致するMixpanelを選びました。
現在の利用状況
現在、複数のチームがMixpanelを活用しており、主にプロダクト開発に関連する部署のメンバーやエンジニア、研究開発部のメンバーが利用しています。
Mixpanelの利用例
主に以下の用途でMixpanelを活用しています。
利用実績と解約率の相関分析
カスタマーサクセス部がプロダクトの利用実績と解約率の相関を調べ、戦略策定に役立てています。メール配信対象ユーザーの抽出
カスタマーサクセス部が既存顧客向けにメール配信を行う際、利用実績を基に配信対象ユーザーをセグメント分けしています(詳細は後述の事例1をご覧ください)。機能開発の優先度付け
プロダクトマネジャーが課題を認識した際、プロダクトの利用実績を確認し、その結果に基づいて企画の優先度を決定します。プロダクト改善箇所の分析
プロダクトマネジャーが定性情報から得たインサイトをもとに、定量情報で課題の有無を確認して分析します(詳細は後述の事例2をご覧ください)。機能ローンチの計測
プロダクトマネジャーは、実装した新機能の利用状況を計測し、その効果を評価しています。
事例1:メール配信対象ユーザーの抽出
Sansanのカスタマーサクセス部では、利活用促進を目的として既存顧客向けのセミナーを開催しています。このセミナーへの参加を促すため、メール配信を行っていますが、申込率を高めるには配信対象を適切にセグメント分けする必要があります。そこで、Mixpanelのイベントログ(例:直近1カ月以内のログイン状況)を活用して、ユーザーの利用実績に基づいて配信対象をセグメント化しています。
この取り組みにより、セミナー申込者の中に、これまで接点がなかった重要人物が含まれるようになり、現場メンバーが新たにアプローチできる機会が生まれています。その結果、Sansanの利活用促進に向けた新たな提案機会を創出することができています。
例えば、Sansanは主に営業部門が利用しますが、導入担当や推進者が情報システム部、総務部、人事部など、実際に利用しない部署の場合もあります。このような状況では、現場の利活用を促進するための提案機会が得られにくくなります。しかし、Mixpanelを用いたセグメント配信により、営業部門の責任者や企画担当者をセミナーに誘致することができ、現場での利活用促進やアウトカム創出につなげることに成功しました。
事例2:プロダクト改善箇所の分析
Sansanのモバイルアプリでは、ニュース情報がプッシュ通知で配信されます。以前は、このプッシュ通知をタップするとニュースのフィード画面に遷移する仕様でした。しかし、ユーザーから「該当のニュース記事が見つけられない」というフィードバックが寄せられていました。
この問題の背景には、ユーザーの期待の変化がありました。最近のニュースアプリの多くは、プッシュ通知をタップすると直接該当の記事に遷移する仕様になっています。私自身も、プロダクトマネジャーになる前の営業時代に、プッシュ通知から目的の記事にたどり着けずにアプリを離脱した経験が何度もありました。
しかし、個人の体験だけで判断するのはバイアスがかかっているかもしれないと考え、Mixpanelを使って定量的に状況を確認しました。Mixpanelのファネル機能を利用したところ、プッシュ通知をタップしたユーザーの過半数が該当の記事に到達していないことが明らかになりました。この結果を受けて、ユーザー体験を改善するための企画を立案しました。
この改善企画は無事に実装され、現在ではプッシュ通知をタップすると該当の記事に直接遷移する仕様になっています。これにより、ユーザーが求める情報にスムーズにアクセスできるようになりました。
おわりに
今回、外部での登壇は初めての経験でしたが、多くの方々にSansanの事例を共有できたことを嬉しく思います。このような貴重な機会をいただき、大変感謝しています。また、当日参加された企業様とも目標指標の立て方や計測の運用についてディスカッションでき、大変勉強になりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。