2023年1月27日、青年団「日本文学盛衰史」を見た@吉祥寺シアター

元同僚の子が見て楽しかった!と言っていて、話が面白そうだなと横目にしていたら30日で千秋楽だった。ちょうど金曜日お昼の回で追加公演が出ており、当日券で見た。平田オリザの著作は持っていたものの初青年団。

1時間前に会場に着いて当日券が購入でき、ホッとしてお昼を食べようと隣のカフェでカレーをがっつり食べてデザートまでいったところで上演時間が2時間20分あると知る。パンフレットを見ると4幕まである。知ってたらこんな食べなかった。トイレ行きたくなったらどうしよう。
原作者高橋源一郎の推薦文もすばらしく期待が高まる。本公演は初演ではないそうで、前評判もよかった。

高橋源一郎氏の小説『日本文学盛衰史』を下敷きに、日本近代文学の黎明期を、抱腹絶倒のコメディタッチでわかりやすく綴った青春群像劇。初演時に大きな反響を呼び、第22回鶴屋南北戯曲賞を受賞した作品の待望の再演となる。笑いの中に「文学とは何か」「近代とは何か」「文学は青春をかけるに値するものか」といった根本的な命題が浮かび上がる、どの年代でも楽しめるエンタテイメント作品。

青年団Webサイトより

舞台は4幕ともすべて誰かの葬儀もしくは通夜のあと。出てくるのは夏目漱石、森鴎外など文豪たちばかり。皆が故人を偲びながらよもやま話を繰り広げる中に、当時の文学(または日本の文化、政治)を支えた人たちの様子や雰囲気、世相が出てくる。


以下はネタバレを含む感想メモ

  •  舞台美術と場面の切り替えよかった。十数年で重要なメンバーが死に、めっちゃ新しい人が出てくる。そういう時代。舞台美術が杉山至さんだった。(ロロで知ったけど元は青年団の方だった、そうだった)

  • 盛衰史の「盛」の方は出てきたけど、衰の方はどこを指しているんだろう。現代のことを指すならちょっと違う気がした。内面を得てからの今〜未来はちょっと急すぎて私はついていけなかった。

  • 当時の「内面を描く」ことへの執念とか絶望とかが切実でよかった。文体、情景を文章で表現すること、散文、さまざまな表現の試みが日本ならではの内面を描くことへの情熱だったんだな、、というか当時の発見とか苦悩みたいなものが今では想像できないな、と思った。外国文学を翻訳してたことで「解答をすでに知ってしまった」人たちの苦悩。

  • 最初の方はこんな感じなのかなと見ていたけど、宮沢賢治のヒップホップで、もうちょい文学扱うならラップに敬意を払ってくれよー、と思ってしまった。わかる、そのくらいの衝撃があったんだろうな、今の感覚に換算すると。でもデフォルメすることと相手に敬意を払うことは同義なのでは。ちなみにミルクボーイはすごく演者の人が完璧だった(特に内海さん役の方)

  • 同様にペンライトとかもアイドルとオタクへの敬意があんまり感じられなかった。軽く扱ってるのはわざとなのかな?わからない。

  • 女性作者の扱い(与謝野晶子や樋口一葉の姿を借りて主張をさせる)のも見せ方はあんまりしっくりこなかった。男性陣が女性関係にはだらしなくて一様に項垂れている姿も。

  • どうしても受験戦争を生きてきたので、今「文学をやる」人が増えて増えすぎた結果、読者は1作品で30人くらい(うろ覚え)しかいない、というのは皮肉っているのか?とこの戯曲での正解を考えてしまった。文学ってそういうもんなの?

  • 今は文学が大衆のものになったと言えるのか。わからない…。

  • 名だたる文学者が自国の増強を信じて疑わず、戦況や日本の未来について真剣に考えているのはグッときた。

  • 森鴎外が4幕を通して重鎮としているのはなんか良かった。タモリさんみたいだった

  • 話があちこちで交差するのは青年団ならではなのかな。聞き取りづらいけど面白く感じた。

そういうわけで、自分はちょっと引っかかるところが多かったのですが、それはなんでなのかな、と考えています。でも面白かったからトイレのことは気にせずにすみました。

とりあえず原作を読んで考えようと購入ブースを見たら、台本と平田オリザ著作をセットで買うとちょっと安くなるとのこと。セットで購入したらおまけでさらに本2冊と別戯曲の台本までついてきた。大盤振る舞いすぎて心配になった。ありがとうございます。
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