風が強くて小雨が降って桜の散る心配をしている
改札を出ると、雨は傘がいらないくらいになっていた。
薄いコートの襟を立てて歩き出した。
雨に濡れたアスファルトは、頭上を通る電車や信号の青、
車のライトで彩られていて、信号を渡りながらぼんやり見ていた。
身近なひとが、思いもかけないタイミングで命を失った。
心構えができていないというのは、つらいのだった。思い出した。
これから先、こういうことが増えていくのだと気づいた。
私はひとより気付くのが10年遅いのだった。
これから先、こういうことばっかりになるんだなって考えたら
妹から姪っ子の入学式の写真が送られてきた。
子どもは希望なんだなと思った。
私はひとより気付くのが10年は遅いのだった。