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きっとあなたと親愛になる私から


キャリーケースにこれでもかと荷物を詰め込んで、
キャリーケースの名の下にキャリーしまくり、
友人知人の家を泊まり歩く。
そんな日常を送っていた時の話をします。

帰りたいと思う家がいろんなところにあり、
その家には私の帰りを待ってくれる人がいました。


相棒とも言えるキャリーケースとはいつも一緒。
100m以上離れてしまったら活動限界を迎えて死ぬんじゃないかと思うくらい。
自分の心臓が、そこにあるかのようでした。
そんな私をみて、興味を持ってくれる人が、またお家に招いてくれるのでした。

毎日いろんな出会いがあって、たまに今日はどこにも泊まれないかもしれないという不安に襲われながらも、毎日誰かしらの暖かみを感じられるその生活が大好きでした。

たった一泊しかしなくても
まるでずっとそこで暮らしていたかのように
そしてこれからもそこで暮らしていくかのように
面倒をかけてかけられて
他愛もあったりなかったりして
作っていく日常が楽しくて仕方ありませんでした

気が付けば、初めての一人暮らしで思い描いていた理想と、まるっきり方向性が違う毎日になりました。
内見に心を踊らせた小さな部屋は荷物置き場と化し、1週間に一度洗濯のために帰るだけになりました。
月額4万9千円ライフライン完備の個室万札ランドリーに一人でいる時、寂しさや怠惰達がここぞとばかりに押し寄せてくるのでした。

そんな時に私は、どこにでも住めるとしたら、どこに住んでやろうか空想に耽ることにします。
押し寄せてくるヤツらを跳ね除けるのに一番効果的です。

空想の中の私は
大豪邸でホームパーティーをしていたり、
ツリーハウスでのんびり楽器を演奏していたり、
でかいバンに車中泊しながら旅行していたり、
某日曜アニメに出てくるような平屋の縁側で日向ぼっこをしていたりします。

空想の中でも私はいろんなところにいて、
いろんな人に面倒をかけていました。
親しみを持って人との関わりを楽しんで、
周りの人も親しみを受け取ってそれを楽しんでくれます。

どこにでも住めるとしたら、
私はこの空想を現実にして、
人に面倒をかけるところを探して住み歩きたいです。

きっとあなたと親愛になる住所不定の私から、キャリーケースに詰めた心臓より、愛を込めた面倒を。

次はあなたの家に帰るかもしれませんね。


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