特別な日

今日も昨日と同じ、代わり映えのしない一日が始まる。

毎日絶望とともに目覚め、他愛のない朝食を口にし、満員電車で肋骨が折れそうになりながら、他の誰かでもできる仕事をしに会社に行く。できる範囲で仕事をこなし、帰途。電車の窓に映る疲れた顔。ああ、あと何回これを繰り返すんだろう。

じゃあ、休日は?といえばテレビであのタレントが大絶賛してたカフェで大学時代の友人たちと待ち合わせ。近況報告タイム。あの子が結婚しただとか、子供が生まれただとか。あの人は会社を興したって。

わたし?…えーっとぼちぼちかなぁ。

(…もう、うんざりなのよ。)

小さい頃はお花屋さんになるのが夢だった。何故か?色とりどりの花に囲まれてお花屋さんの笑顔はキラキラ輝いて見えたから。
わたしも数年前まではわたしにしかできないことがあるって、わたしも輝けるって信じてたんだけどなあ。

実はわたしにも結構自信のある趣味がいくつかある。

学生時代に部活でやってたサックス、アクセサリー作りだとか、お菓子も人にあげたら「え?買ってきたの?」と問われるくらいのレベルで作れたりする。手先は器用。細かい作業はお手の物。
それを仕事に、、と考えたことがないと言ったら嘘になるけど

こわかったのよ。一番になれないことが。自分にしかできないことなんてないと思い知らされることが。

そんなことをぼんやり考えながら、気づいたら。
目の前には、退職届が書き上がってたのね。

やってやろうじゃない、なんだか人生遠回りしたみたいだけど。
どうせ、今現在ダメなわたしの人生。失敗したって構わないじゃないの。

今日は昨日と違う、特別な日。

新しいわたしの誕生日。

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