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酸素すってゆるく暮らしたい
2020年4月8日 20:04
「行っても……私、そういうことはシないよ……?」もうすでに何度、同じことをいっただろう。それでも、相手はにこやかで表情を少しも曇らせない。「いいよ。そういうんじゃないから」本当のところ、何もしないなんていう建前を否定しているのは自分自身だ。この人とはすでに何度かデートをしている。彼のこと硬派なタイプとも思っていない。どちらかというとあそんでるタイプだと思う。だから、なにも考えたくない
2020年4月10日 21:12
私はいったいなにをしているのか。なぜ、こんな恰好で、こんな……こんな……ほとんど裸で男の人とこっけいな押し問答してるのか。「やめて……!パンツ、やぶけちゃうでしょう!手を離して……!!」涙目で絶叫すると、さすがにシラケた雰囲気になったのかあっさり男は解放してくれた。夜は疲れからか、結局手を出さずに寝た彼も朝、それを取り返そうとしただろう。まどろみから目が覚めて気がついたらキスを浴びせ
2020年4月11日 08:53
「……彼女とは1ヵ月前に別れたよ。1年半くらいつきあったかな」1ヵ月ではまだ傷心だろうに、彼の口ぶりは湿っぽさを感じさせないものだった。「なんで……別れたかとか聞いてもいいかんじ?」義務のように質問したが、わたしはなんとなく聞いたことを後悔した。「ん――……わかんないんだよね。『なんか、合わない気がする』だって。……1年半も一緒にいてそんなこと言われたの別れたときだけ……結婚の話も
2020年4月14日 23:24
――なぜ、男の人はこんな環境で眠り続けられるのか。寝不足でまともに頭の働かない私はまだ宵が明けきらない薄暗い部屋のベッドの中をもぞもぞと手探りでけたたましく鳴り続ける迷惑なスマホを探りあてると、持ち主である隣で熟睡する男の肩を無言で揺すって手渡す。可能ならば、この忌々しい四角い液晶を今すぐ窓から投げ捨てろ、というのを口に出すのは我慢した。男は起こされるまま朦朧とした状態で電話にでる。
2020年4月17日 00:05
「感心……しないな」やけに優しい声色で、横に座る男は腕を組んで私を諭すように厳しい目で見つめた。私は彼――大学の先輩――から目を逸らして広いカラオケルームの大きなモニターの前で、酔って浮かれまくる男たちを眺める。何人かがパンツ一丁で縦ノリしながら熱唱していた。クリスマスイブにわざわざ好き好んでつるむ集まりにふさわしい下品さだ。あの人が1ヶ月前突然あんなこといわなければ、こんな会には来なか
2020年4月1日 00:43
暗闇の自室でスマホの画面を投げやりな気持ちでなでる。1つ1つゆっくり連絡先を消していく。それは、誘われるまま参加した飲み会で交換したものだったり、ビジネスの浅い付き合いで形式的に交換したものだったり……もう、必要のないもの。あ行から1つずつ、最後に連絡した時のことを思い出しながら……思い出せなかったら、ゴミ箱に捨てていく。私の生活に、こんなに、登場人物はいない。虚構の人間関係。本当に疲れて