世界一周自転車旅!
私がnoteをはじめようと思ったきっかけは、友人のお父さんの若い頃の旅日記が投稿されると知ったから。それがこちら。
50年前の世界一周旅行記!
しかも、自転車旅だという。
かくいう私も子どもの頃から世界一周にあこがれていて、昔は旅好きだった。今でこそ、住んでいる市内からほぼ出ない生活だけれど、そうなる以前、あちこちを見て回るのが大好きだった。自転車旅行は、主に輪行(列車などで移動して、そこで自転車を組んでサイクリングすること)というちょっとずるい手段だったけれど、よくしていた。
面白くない訳がない。
50年遅れで実際の日付どおりに進んでいくそうで、2年半にわたって続くらしい。先の長さを考えれば、まだ自転車旅は始まったばかりだけれど、既に青年と一緒に旅をしている気分で毎日楽しみに読み進めている。青年は宮本武蔵にあこがれ、ロサンゼルスまでの船の中で最高の仲間と出会い、はじめての外国で右往左往しながらも、組み立てすらままならなかった自転車にまたがり、走り出す。世界の大きさを体感するために。世界の人々と出会うために。
50年前といえばきっと、海外旅行が今ほど一般的ではなかったであろう時代。そんな時代に、なぜ旅立つ決心をしたのか。フィクションではなく、純粋な日記なので、そんなことがはじめに書かれている訳ではないし、これから明かされるかどうかもわからない。
旅の途中で青年の目を通して書かれる風景は確かに50年前にそこにあった世界。移民船だというぶらじる丸、ハワイの丘の上に立ち並ぶ美れいな家々と裕福そうな人々、走れども走れどもとなり町にたどりつかない砂漠、さびれたメキシコの工場と貧民街。公園にたたずむ老人、やさしくて陽気なメキシコのアミーゴ、共同生活しているヒッピーたち。
旅に出て、「今までの自分の閉ざされていたところのものが溶け出てくるよう」に感じたという青年は、実にやすやすと周りの人たちとおしゃべりして、友達になり、別れを惜しんで次の町へと進んでいく。町に暮らす人たちも若者には優しい。旅は若いうちにしろとは若い頃よく聞いた言葉だけれど、確かに若いからこそあてどなく歩き回っていても嫌な顔をされず、多くの人が暖かく旅人を迎えてくれるのだと思う。
今ならではの楽しみ方として、地図好きな私はGoogle マップ上に青年の訪れた地点をプロットして、ストリートビューで旅をおかっけてみている。私自身、アメリカ大陸には一度も行ったことがないので、道の先に広がっていく風景には新鮮な感動があって楽しい。青年が見ていたのはもちろん今とは違う景色なはずなのだけれど、特に郊外の景色は今もそれほどには変わっていないように感じる。青年の軌跡をたどりながら、私も地図上で世界一周をしてみたい。
彼はこの旅を経てどんな風に成長していくのだろう。旅が終わったときに何を思うのだろうか。2年半後には無事帰国して、結婚し、子供を授かり、旅の話を聞きたいと訪ねて来る人たちのために日記や記録をまとめなおし、(それがこのnoteの世界漂浪の記らしい)そしてどうやら数年前に残念ながら他界したというその後の人生を知って読むことで、濃い密度で彼のその後の人生に影響を与える出来事が起こったであろう旅の記録がとても興味深く、別の感慨も与えてくれるものになっていると思う。
「世界漂浪の記」は出版されている書物ではなく、本人が手書きでつくった本が一冊あるのみ。読者である私は50年遅れの日付で投稿されるnoteの記事を読んでいるだけなので、まだ最後まで読んだ訳ではないのですが、きっと面白い旅ができるという予感で日々読み進めています。多くの読者の方に一緒に旅する仲間になってもらえればうれしいです。
追記 2021/11/10
この文を書いた時点ではなぜ旅立とうとしたのか、明かされてはいなかったのですが、投稿した時点ではその数日前、11/2の投稿にて旅立った理由が書かれていました。こちらにも注目して、ぜひ順を追って読んでみてください。