2024/7/15 EPAD、アーカイブ事業/劇団UZのあゆみダイジェスト
春先くらいに、舞台芸術の映像アーカイブ事業に劇団UZの作品を応募していたんですが、採択連絡が届き何本かアーカイブを残してくれることになりました!
舞台芸術のアーカイブ事業。
コロナ禍の後、映像配信の在り方や、映像の活用方法が様々検討されることとなりました。EPADのアーカイブ事業もその中の一つ。
今年度の募集で、劇団UZからは2本作品を残してもらえることに。
本公演としては初めての作品2021年「サフランの子どもたち」。
京都の人間座「田畑実戯曲賞」では佳作選出も頂いた2023年「太陽(アポロン)のことは知らない」。
申請時の書類の作成などで、劇団UZの映像見返したりしていて
とても懐かしい(というか2020年からあっという間ですね・・)って思ったのもあり、ダイジェスト映像の紹介を出しながらちょっと振り返ってみようと思います。
本公演
サフランの子どもたち(2021)
劇団が旗揚げ公演を始める前に、2020年に四国の短編演劇祭・四国劇王に出た林幸恵さん、幾瀬葉月さん含めて出演は劇団員以外だけで作っちゃった作品。林さんはこの後何作かを経て、劇団員に。
家族最年少の母は夫の母から「真の孫」を求め続けられ、歳上の妹は臨月を迎え、長女幸子は妊娠既に十六ヶ月。
ギリシャ喜劇「女の平和」をモチーフに、家族と性の闇を描く。
★EPADに採択頂きました、ありがとうございます!
狼煙の豚(2021)
2021年の旗揚げ公演・狼煙の豚。
旗揚げ準備公演では裏に徹していた劇団代表の上松知史が遂に出演。
劇団立ち上げ早々に見学、から劇団員になった樹杏ちゃんはほぼ初舞台なのにかなりエグい役どころを演じた努力の人。 ひょんなことから知り合った、新上さん(演劇集団 円)は、その後も劇団UZの作品で豊岡演劇祭にもご一緒しました。
この頃、夏の暑さに負けそうになりながら作品を作っていました
避難指示区域となった街で、
二十年引き篭もりを続ける兄と、その妹の生活は続く。
わずか十日で出産する謎の女ミクニと共に、兄は「軍隊作り」に着手する・・
縷々としてなお―F・ヴェーデキント氏との邂逅あるいは僅少の離別―(2022年)
2022年は、本公演はこの作品だけなんだけど劇団UZこの年は6本とかやってて豊岡演劇祭も行ってるってどういうこと…?
座付作家の伊豆野眸の作品は状況の演劇、事件や何か事が起きた後を生きる人たちの生活、状況を描く作品のように思っているんだけど、作品は2021年の家族の物語から、2022年は時代の物語に。ちなみに秦も珍しく出演。
駅近くのラブホテル街。路地裏、高架下、吹き溜まりに迷い込んだのは、遺体で発見された友人の謎の死を追う、女子高生・アカリ。
ドイツ不条理演劇の先駆F・ヴェーデキント「ルル二部作」をベースにした、「関係できない人々」の物語。
太陽(アポロン)のことは知らない(2023年)
2023年は、物語、ストーリー性が強くなって。でも、よくある"物語"だと思って見ていると状況の演劇に呑み込まれるかもしれない。
「太陽のことは知らない」。実際にあったバスジャック事件をモチーフにした物語。2022年の番外公演「うみにきす」から、事件をモチーフとした作品が続く。
世間を震撼させたバスジャック事件「新鷺梁津事件」から十年。
事件後を生きる被害者たちと、週刊誌連載を狙い事件を追う自称ライター。
ネットの間で膨張拡散を繰り返す陰謀論と、現代社会の隙間で積み残された違和感を仰ぎ見るー。
★第6回 人間座「田畑実戯曲賞」佳作選出
★EPADに採択頂きました、ありがとうございます!
草のかげを噛む(2023年)
限界集落で実際に起きた連続殺人事件がモチーフとなった作品。
稽古場はこの頃、山の農業用倉庫に移転。人が住んでいない限界集落突破地域で作った作品が、街の小劇場にやってくるー。
都内などで発生した、原因不明の高齢者連続死亡事案。死亡した全員の容姿がまるで若返った状態であることと、同じ地区出身であることが調査の結果浮かび上がる。
おじいちゃんおばあちゃんが何故か若返る限界突破集落を舞台に、全編創作方言で語られる、社会の隅に追いやられた人たちの存在を描いた作品。
「草のかげを噛む」は、舞台裏の動画もあります!
公演を作るのはどうしてるの?ってのがちょっとだけ覗けるかもしれない・・!
番外編(本公演以外)
泥の間(でいのま)(2020年)
こちらは初期の初期。短編演劇祭の四国劇王にて上演した作品。
イスラエル民謡ヒネマトヴとアルコールで織りなす人間讃歌。
終始ゴミ袋に詰められた役者たち。
◆こちらは、全編映像で観ることができます。
うみにきす xxxを手にした少女のためのバイエル(2022年)
日本演出者協会の演出家育成対象として劇団UZ伊豆野が選ばれ、そのときに作った作品。扇田拓也さんが講師として松山に滞在してついてくれました。
扇田拓也さん、連続テレビ小説「らんまん」の脚本家の長田育恵さんの劇団てがみ座でもよく演出されてる演出家さんです。
「フィジカルな視点」で挑み、新たな表現の可能性を模索する作品。また、この作品からしばらく実際の事件をモチーフとした作品が続きます。
◆こちらは、全編映像で観ることができます。
ここからは映像は無いですが、上演作品を少し。
いしをつむ(2022年)
演劇集団 円の新上貴美、劇団UZの伊豆野眸がタッグを組み、さらに音楽家の西村大の生演奏も入り、愛媛松山・兵庫豊岡と劇団初の県外も含めた2か所で上演した作品。主要な演劇祭の一つでもある豊岡演劇祭での上演、参加したこともとても良い経験となりました。
母娘三代を描く記憶と命の物語。
時代に翻弄されながら命をつないだ名もなき人間の姿、母子に受け継がれる心身の連鎖。一人の肉体を三人の記憶が通り過ぎていく。
豊岡を訪れた後に行ったトークイベントの様子。
研究公演「わたしのお父さん」「ちゃんとした夕暮れ」(2022年)
座付作家の伊豆野眸のオリジナル作品に限らず、既存の作品に劇団員で挑戦した研究公演。劇場も飛び出して、マンションの一室、BARと普段と違う場所での上演も面白さ。
「わたしのお父さん」はオノマリコさんの作品を上演。
「ちゃんとした夕暮れ」は南出謙吾さんの作品を使わせて頂きました。
次回公演
浅瀬の牛を撫でる(2024年)
劇団UZ、近日公演を予定中。
コロナ禍真っ最中の2020年に立ち上げ、シアターねこをホームとして行ってきた劇団ですが、8月末シアターねこ閉館の報により、ホームである劇場での最後の作品となります。
犯した罪から逃げるため、嘘と虚栄で人生を演じ、逃げ続けたと同時に社会の狭間で生き続けた事件をモチーフに、スナックを舞台とした人間模様を描きます。
8/2〜4(金土日)の3日間。シアターねこにお越し頂ければ嬉しいです。
あっという間の5年間。
引き続き、良い作品を届けることに挑戦していってくれると思います。
応援、ご贔屓頂ければ幸いです、よろしくお願いします!