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#116 お茶を濁す 目くそ鼻くそを笑う
「熊さん、『お茶を濁す』って、どういう意味だい?」
「ああ、八っつぁん、茶の葉を適当に誤魔化してお茶を淹れることからきているらしいな。いい加減なことを言って、その場を誤魔化すこと。その場だけをうまく取り繕って誤魔化すことだよ」
「つまり、やったぁってことにして、誤魔化すってことだな。」
「ああ、そうだな。誤魔化す前に無責任な発言が重なると、お茶を濁すとなるんだ。いま俺が持っているこの辞書にはこんな事例が書いてあるぞ。14階建ての高層マンションを建設する計画を立てた業者があった。しかし、住民・市民から猛反発を受けた。そこで、建設計画を大幅変更すると発表し、検討したふりをして、ほとぼりが冷めた頃、14階を12階に変更すると発表した」
「へえ〜、14階も12階も変わんねぇなぁ。どこが大幅だい? こりゃあ、完全な誤魔化しだなぁ。検討するフリをしたってなわけだな」
「じゃあ、『目くそ鼻くそを笑う』ってどういう意味だい?」
「ああ、これはな、自分も汚いのに人の同じような汚さを指摘することだな。自分にもある欠点なのに相手のそれと同じ欠点を見て嘲笑うことだ」
「へえ〜、おいらもよくやるなあ。気をつけよう。ところで、その辞書にはどんな事例が書いてあるんだい?」
「この辞書にはな、14階建てを非難されたので、12階に変更しようとしたんだが、12階でも非難されそうなので、10階にしようという案が出たという事例が載っている」
「えっ? 12階も10階も同じじゃあねぇか!」
「そうだよ、住民・市民の主張からすると、12階も10階も、例え7階でも問題ありとされている」
「するってぇと、10階が目くそで12階が鼻くそっていう訳かい。10階の野郎、同じ問題点を持っているのに、12階よりはマシだと思ってやがるもんな」
「そうだな。同じ問題があるのに気が付かない。そんなヤツは信頼を失うという事例だ」
「ところで、その辞書、何ていう名の辞書だい?」
「ああ、これかい? これはな、『明和辞書』っていうヤツさ」
「うん? メイワジショ…? どこかで聞いたような名前だなぁ」
(23.11.16)