義務教育でデジタル教育を進めていくべきなのは、貧困の解消と格差是正のためだ。
はじめに
9月入学の議論が注目され気味だが、義務教育の現在での一番の課題は、デジタル教育をいかに進められるか、だと考えている。特に、義務教育においてデジタル教育が進められなければ、さらなる貧困と格差の増大を招くだけでなく、経済面での国力低下をも招く。以下で、理由を述べていく。
デジタル教育の推進は貧困の解消になる?
近い将来、ITやデジタルのスキルは、学歴に関係なく重宝されるようになる。特に、今後の5Gの進展やAI技術の革新によって、学歴>デジタル技術・能力、という時代に、早ければ数年で変わっていくだろう。堀江氏の運営する「ゼロ高等学校」やドワンゴの運営する「N高等学校」にその発露が見出せる。
小中学校の義務教育の時期にデジタルスキルを高めれば、企業への就職だけでなく、このような安価な高等教育にもアクセスできるようになり、さらなるスキルの向上が目指せるのである。また、ITのマーケットは拡大しており、日本ではエンジニア不足の状況が改善されておらず、賃金も一般的な企業よりも割高なのだ。
残念ながら、現状、義務教育では「デジタル化」は進んでいない。
このような現状を考えると、デジタル機器に容易に触れられる「富裕層」の子供が、デジタルスキルを高め、それ以外の「貧困層」の家庭はデジタルスキルを高められず、低所得な職に就くしかなくなるのだ。
逆をいうと、義務教育で貧困層がデジタルスキルを高められれば、自身のスキルを安価に向上させることができ、賃金の高い職に就職できるチャンスが拡大するのだ。(高校や大学にいくという既定路線も見直すべき時代に入った。)
貧困の解消のみならず、抜本的な格差解消も実現できる
上では、デジタル教育の進展により、貧困の解消が可能だと述べたが、さらにいうと、貧困層に生れた子供が貧困に陥るという世代間連鎖も解消できる。
義務教育でデジタル技術を身につければ、賃金の高い職に就ける、ということは、親が子供に掛ける教育資金は格段に低くなる。そのため、これまで親が裕福でなく良い教育が受けられなかった子供も、義務教育におけるデジタル教育の進展により良質な学習環境が容易にしかも安価に得られるのだ。
近年のSNSやWebサービスの広がりに伴い、例えばYoutubeなどでの教育コンテンツは増大し、もはや教育に掛ける費用はほぼゼロだといえるほどにもなった。しかし、これらの優良コンテンツにアクセスしたり、プログラミング技術やデジタル技術の基礎知識を身に着ける下地が必要だ。そのような下地を義務教育が提供すべきだと強く主張したい。
著名人の発言について
乙武氏は教育者としても著名な方だが、9月入学や学校再開については、大々的に情報発信をしてきたが、デジタル教育の言及についてはあまりしてきていない。
https://twitter.com/h_ototake/status/1264846229004926977
https://twitter.com/h_ototake/status/1257599476014837761
ぜひ、このような影響力のある方々からデジタル教育の進展を強く促すよう情報発信していただきたいと思う。
まとめ
義務教育におけるデジタル教育進展により、教育格差は是正され、貧困の解消や世代間格差の是正にまでつながる。政府には抜本的な教育改革を進めてもらいたい。また、著名人も「デジタル教育」について言及していただき、これについての議論が高まればと願っている。
他の国でどれほどデジタル教育が進んでいるかというのを示すべきだが、今日はこの辺りで勘弁していただきたい。だが、日本ほど後進的な国はないだろうと思う。また、各国があまり進んでいなかったとしても、少子化の進む日本だからこそ、デジタル教育の浸透は積極的に進めるべき施策だろうと思う。しかも、この施策こそが、将来的に国力を莫大に増加させることにも繋がるのだ。このままだとデジタル技術に関しては、韓国や中国にもすぐに抜かされてしまうのではないか思う。いや、もう既に抜かされてしまっているか。
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