非上場株式の売買に対する課税関係と買い取り方式

創業メンバーが保有している株式を創業者や企業で買い取る場合の課税関係や、方式についてまとめる。

買取時の課税

個人から個人
原則、個人から個人へ譲渡する場合は取得価額と譲渡価額の差が譲渡所得として所得税等15.315%、住民税5%の申告分離課税となる。
相続人から個人
保有していた人物の相続人から相続税申告期限の翌日から3年以内に個人が買い取る場合、納付した相続税額を対象株式の取得費に加算することができる。
個人から法人
法人は自己株式の取得(金庫株※後述)となり、譲渡した株式に対応する資本金の額までは譲渡益として20.315%の申告分離課税。超えた部分については配当所得(みなし配当)として総合課税(配当控除後で最高49.44%)とされる。
相続人から法人
保有していた人物の相続人から相続税申告期限の翌日から3年以内に法人が買い取る場合、みなし配当は適用せず、すべて譲渡所得として20.315%の申告分離課税とすることが可能。さらに納付した相続税額を対象株式の取得費に加算することができる。

相続人等に対する株式の売渡請求

定款に「相続人等に対する株式の売渡し請求」の記載をしておけば、相続人は会社からの売渡請求を拒否できない。
要件として、①相続人が取得したことを知ってから1年以内に請求②売買価格は当事者で決定するが、不調の場合は請求日から20日以内に裁判所へ申し立てすること

金庫株

企業が自己株式を保有すること。相続による株式の分散を防止することができる。また、金庫株の譲渡代金を納税資金に充てることができる。(株式を相続し、金庫株として譲渡した代金で相続税を納税するなど。)

要件
①取得
・譲渡人を指定(誰に売ってもらうか指定) ⇒ 臨時株主総会の特別決議(3分の2)
・譲渡人を指定しない ⇒ 臨時株主総会の普通決議(2分の1)
②保有
・自己株式には議決権なし。配当なし。

名義株

株主名簿等には名義株の名義人が記載されているが、真の所有者が代表者などの場合(名義だけ借りていた場合、旧の商法では発起人が7人必要であったため)、「名義株である旨の確認書」を作成し、株主名簿等を書き換えておくこと。出資金の払い込みは誰がしたのか?配当金は誰に支払われているのか?株主総会の通知は誰に出しているのか?などから名義株であるかの確認をする。
名義人の協力が得られない場合は、買い取り請求や訴訟等で解決することになる。当時の事情を把握している当事者が健在なうちに解決することが望ましい。

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