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「墓じまい」につきもの⁉「離壇」と「改葬」について知っておこう!

「墓じまい」最近よく耳にするワードだと思いませんか?

「墓じまい」とは文字通りお墓をしまうことですが、押し入れや物置に片付けるのとはもちろん違います。

お墓には先祖のご遺骨が安置されていますよね。「墓じまい」とは、遺骨を取り出して墓石などを撤去し、さら地にしてお寺などに返すことを言います。

お墓をしまうことではなく、そのお墓をおしまいにする、という意味での墓じまいというわけです。

近年、先祖供養についての意識も変化し、なおかつ「お墓が遠方で管理が大変」「身寄りがなく、ゆくゆくはお墓を管理する人がいなくなる」などの理由から墓じまいをする人が増えています。

ところが、墓じまいについてはざっくりイメージできても墓じまいにつきものといわれる「離壇」や「改葬」などについてはよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは「墓じまい」にともなう「離壇」や「改葬」について簡単に解説します。

墓じまいにつきものの「離壇」って何?

多くの「墓じまい」についてまわる「離檀」とは何のことでしょう。

ある寺院にお布施などをして、そのお寺を財政的に助けている人を「壇家」といいますが、近年お寺にお墓を所有している人を、そのお寺の「壇家」と呼ぶことが通例になっています。

墓じまいの際、お寺に墓所がある場合は、そのお寺からお墓を引き払うことになりますから、自動的に壇家でなくなるといえます。そのため、お寺の檀家をやめる、すなわち「離壇」する必要が出てくるのです。

墓じまいをするときは勝手にお墓を引き払うのではなく、お寺に離壇する旨を話し許可をもらったうえで所定の手続き(改葬手続き)を行う必要があります。

「改葬」ってどんなこと?

「改葬」は、お墓に埋葬している遺体や遺骨を、手続きを踏んだうえで他の場所に埋葬しなおすこと、つまり「めて埋」することを指します。

「墓じまい」をして遺骨を取り出したら、その遺骨は必ずどこかに移さなければなりませんから、多くの場合「墓じまい」には「改葬」がともなうことになります。

改葬をするためには、自治体の手続きを経て「改装許可証」を入手する必要があります。

「改葬許可証」って?どんな手順で入手するの?

「改葬」をするには、各市町村が発行する「改葬許可証」が必要です。改葬許可証を発行してもらうには事前に3つの書類を用意します。

●改葬許可申請書
●受け入れ証明書
●埋蔵証明書

改葬許可申請書

改葬許可申請書は、自治体に改葬許可を願い出るための申請書です。自治体により役場に取りに行くところや役場のホームページからダウンロードできるところがあります。

自治体により記載事項は異なりますが、多くは死亡者の本籍、死亡年月日、埋葬場所などを記入します。さらに、申請者の住所、氏名、死亡者との続柄なども記入します。

また、1つのお墓に複数人の遺骨が埋葬されている場合、一柱(一人分の遺骨)につき改葬許可申請書は1枚必要です。例えば二柱埋葬されているお墓ならそれぞれについての2枚の申請書が必要です。


受け入れ証明書

受け入れ証明書は、改葬先(引越し先)の管理者に発行してもらいます。

引越し先の管理者が用意していたり、自治体の書類をもらう必要があったりさまざまですが、いずれも遺骨の受け入れ先があることを証明する書類ですので、各自治体に問い合わせて用意しましょう。

埋蔵証明書

埋蔵証明書は、今現在遺骨が埋葬されている墓地の管理者が発行するもので、この形式も自治体によってさまざまです。

改葬許可申請書に現在の管理者が署名捺印することで埋蔵証明書として機能する場合もありますし、現在の管理者が独自に発行する場合もあります。

今埋葬されているのがお寺の場合、ご住職に記入をお願いします。

「墓じまい」と「改葬」は手順に気を付けて!

これまで解説した流れで「墓じまい」~「改葬」まで進めていきますが、気を付けたいのはその手順と段取りです。

例えば、離壇のお願いや改葬手続きが終了してから親族のだれかに「改葬」について反対の声が上がるかもしれませんし、受け入れ先が決まらないまま墓じまいを急いでも改葬は完結しません。

つまり「墓じまい」や「改葬」は段取りが重要になるということです。「改葬」を滞りなく遂行するには以下のような手順を踏むことが大切です。

1. 改葬先の目星をつける
2. 関係者や親族に改葬の相談をして許可を得る
3. お寺に改葬したい理由を話して許可をもらう
4. 改葬許可証を発行してもらう(現在の埋葬地、今後の受け入れ先の署名捺印)
5. 閉眼供養、遺骨の取り出しや撤去作業(石材店)
6. 改葬先へ納骨

「改葬」には手間と時間がかかりますが、何よりも親族と離壇するお寺の理解を得ることが大前提となります。

これまで心を込めてご供養してくださった親族の方たちやお寺ですから、よんどころない事情で改葬を希望する場合はていねいに理由を話し、理解を得たうえで、円滑な改葬になるように心がけたいものですね。