老人ホーム選び 私がお客様にしているたったひとつのこと
厳しい暑さが少しやわらぎ、
老人ホーム選びのご依頼が
増えてきました。
私がお客様の老人ホーム選びを
お手伝いする時に心がけている
たったひとつのことをお話しします。
独自スタイルでご案内
当事務所の老人ホーム選び(紹介)サービスは、
全国的に珍しいスタイルです。
お客様から相談料を頂戴して、
老人ホーム側からは
1円もいただかないというもので、
起業当初から変えていません。
(ほとんどの老人ホーム紹介業者は、
お客様は無料、老人ホームから
仲介手数料をというスタイルです)
そして、必ず見学には付き添い、
一緒に老人ホーム側の説明を聞き、
ひとつひとつ疑問点を整理、解消
していきます。
なぜこのようにしているか、それは
「何となくいいと思ったから入居する」を
予防したいからです。
その老人ホームの良い点、そうでない点も
わかった上で入居することが、
穏やかなシニアライフには必須だと
考えています。
現に私と一緒に複数の老人ホームの
見学に行かれたお客様は、
「Aホームのメリットは○○で、
Bホームにはなかった。
Aホームのデメリットは△△で、
これはCホームと同じ」など、
きちんと言語化できるまで理解される方が
多いです。
ご自身の価値観をもとに、分析、客観視、
言語化できるところまで来たら、
老人ホーム選びの失敗のリスクは
かなり減らせます。
なぜ「何となくいい」と思ってしまうのか
見学に行くと、大抵は老人ホームの
営業担当者が説明、案内をしてくれます。
営業担当者は「売るプロ」です。
そう、どこを見せて、何を言えば契約に
至りやすいということをわかっている人
なのです。
ウソの説明をする方は少ないのですが、
いわゆる「殺し文句」「営業トーク」を
心得ている方が多いです。
以下のような特徴がある老人ホームを
例にあげてお話しましょう。
・入居金(入居契約時に支払う料金)が
リーズナブル
・最寄駅から徒歩圏内で利便性の
良いところにある
・厨房があり、毎食出来立ての
お料理が食べられる
営業担当者は、上記の3つを集中的に話します。
するとお客様は
「ふむふむ、毎日の食事がおいしいのは
大切よね。
駅近だから娘が面会に来やすいわよね。
この料金なら手が届くわ。ここに決めよう」と
説明を受けた項目
(料金、利便性の良さ、料理)にばかり
目を向けてしまいます。
でも、老人ホーム選びの時には
考えなくてはいけない項目が山ほどあります。
老人ホーム側のセールスポイントだけを見て
決めてしまって良いのでしょうか?
調べてみると、この老人ホームには
以下のような他社と比較して
マイナスポイントがありました。
・医療ケアがそれほど手厚くないため
疾患によっては、途中で退去を迫られることが
多い。
・人員配置が最低限
・パンフレットには記載されていない
追加料金が多い。
営業担当者がアピールすること「だけ」を
見るのではなく、マイナスポイントにも
冷静に目を向け始めると、
「私は、持病があるから医療ケアが充実している
ところがいい。それはここには
期待できないのね」と
自分に本当に必要なことが見えてきます。
これが「何となくいい」で入居してしまわないコツなのです。
100%お客様の味方でいる
私が老人ホーム選びのお手伝いをする時に
1番心がけていること、それは
「100%お客様の味方でいる」
です。
これは、老人ホームの営業担当者や
一般的な紹介業者には、立場上難しいことです。
程度の差はあれ、「入居契約」を
目標にすることを会社から指示されていますし、
それが昇進や昇給の条件の場合もあります。
でも、私はお客様側に立つことができます。
お客様の利益のみを考えて動けます。
雰囲気に流されていないか、
重要なことを見落としていないか、
大切にしたいと思っていたことを
忘れていないか、を一歩引いた視点で
常に考えています。
先日もこんなことがありました。
お客様と老人ホームを見学していた時、
お客様が職員の数が多いことに
魅力を感じていることがわかりました。
営業担当者も「うちは、人員配置が
他社と比べてもかなり手厚いです」とアピール。
しかし、書類を読むと介護職員の離職率が
他社と比較して高いことがわかります。
それについては、営業担当者は触れません。
当然ですが。
そこで、私から離職率の高さの理由を
質問しました。これは、その老人ホームを
貶めるためや、欠点をあげつらうためでは
ありません。
人員配置が手厚いと言っても、
人がコロコロと変わっていることを
お客様に知っていただいた上で、
入居するかどうかの判断をしていただく
ためです。
そして、興味深いことに、
マイナスの質問に対して営業担当者が
誠実に返答することで、お客様の信頼を得る
パターンも少なくありません。
営業担当者が深刻に捉えていて、
あえて話すことを避けている欠点を、
お客様はそれほど重視されない
(欠点をカバーする手立てをご自身でお持ち、
他の老人ホームと比較してそれほど
重大な欠点ではないと思うなど)場合も
あります。
老人ホーム選びの講座で
よくお話しするのですが、この世の中に
完璧な老人ホームは存在しません。
どこか良くない面があるものです。
それらを理解し、それでもこの老人ホームで
老後を過ごしたいと思えたら、
もうそれはご縁があるということです。
私の役目は、老人ホーム側が
できれば見せたくないと思っている箱のふたを
そっと開くことです。
その箱の中身をお客様と一緒に見て、考える。
時には営業担当者からイヤな顔をされますが、
そんなことは気にしていられません。
お客様の将来がかかっているお買い物です。
100%味方でいるために、
今日も「箱」をさがしてふたを開けてきます。
今秋開講講座のお知らせ
9/19(木)開講 近鉄文化サロン阿倍野
「かしこい老人ホームの選び方
~老人ホーム見学ツアー付~」
(満席・キャンセル待ち受付中)
10/2(水)開講 産経学園大阪校
「おひとりさまの私らしいシニアライフ」
10/13(日)開講 NHK文化センター京阪守口
「自分のためのかしこい老人ホームの選び方」