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我が家のイギリス旅行記#01 まえがきと、あとがき的なもの

2024年の夏休み、家族で出かけたイギリス旅行の思い出をここに記す。


海外旅行にでかけよう

50歳をとうに過ぎたというのに、海外旅行経験がびっくりするほど少ない。

1993年 大学4年生の夏休み、卒業旅行でアメリカ・シアトル(+カナダ・バンクーバーを少々)。
1997年 新婚旅行でチェコ・プラハ、オーストリア・ウィーンとインスブルック。
1999年 夫婦でイタリア・フィレンツェとオーストリア・ウィーン。

今までこれがすべて。すべて前の世紀のできごとだった。
ところが昨年から、急に海外づいてきた。

2023年、ひょんなことから出張が入り、台湾へ。
20数年ぶり、21世紀になって初めてパスポートを取得した。
止まっていた時計の針が動きはじめた。
そして今年4月、またしてもひょんなことから出張でアメリカに出かけた。

2回にわたる家長の海外出張が、家族の海外旅行欲求に火をつけたようだ。
「今年の夏休みは海外旅行に出かけたい。いや、出かけるべき」という機運が急速に高まった。
もともと奥さんはご実家が「子供にも海外旅行を体験させ見聞を広めさせよう」的な考え方で、子供のときに家族旅行で海外に出かける風習があったらしく、我が子にも同じような経験をさせたいということを常々言っていた。
我が家の子供たちはもはや「子供」と呼べる年齢でもないが、このタイミングになって「やっぱり一度は連れて行かないと」という話になった。

もちろん悪い話ではないし、こちらとしても望むところであった。

行き先はイギリス

さて、どこへ行くか。
「どうせ行くならヨーロッパ」という声は、最初からあがっていた。
とはいえ、初めての海外旅行でいきなり10数時間のフライト、時差、それになにより経済的理由、さまざまな高いハードルがある。
まずは手近なところから近場でアジアはどうか。
タイやベトナム、もしくは韓国台湾、それでも「初めての海外旅行」としてはじゅうぶんではないか。
あるいはモンゴルなんてよいのでは?
といった提言をしてみたが、その方向では1ミリたりとも話が進まなかった。
滅多に行ける海外旅行でないならば行きたいところに行くべき、という声に私は押し込まれた。

ではヨーロッパでどこに行くか。
なるべく負担の少ないところ、例えばトルコとかはどうかと考えた。
イスタンブールなら直行便で往路13時間、復路11時間。ヨーロッパとしては肉体的負担は少ないほうだ。1日目の朝発で夕方(現地)着、まるまる4日間滞在して6日目の夕方便で帰れば7日目の午前中に日本着と理想的な日程が組める。
自分のなかではなかなか魅力的なデスティネーションと考えたが、これもあえなく却下。
「いやヨーロッパと言えばイギリスでしょ」と、普段は多様な意見のとびかいがちな我が家族において今回は不思議と意見が整った。

行き先はイギリス。
ゴールデンウィークを過ぎた頃には、すでにそれで決着していた。

メンバーのスケジュールを確認・調整し、日程は8月下旬に定まった。
入念なリサーチ作業を経て6月上旬、「エアトリ」でフライト&ホテルをセットで予約した。
往復直行便利用+ロンドンのホテル5泊、4人分で1,400千円ほど。
だいぶお得な感じだったが、そのかわり「キャンセル不可(キャンセルしても払戻しなし)」という条件付きである。
予約から出発までの3ヶ月のあいだにもし何かあって旅行に行けないようなことになれば、支払ったお金がまるまる泡と消えてしまう。
そう考えると、海外旅行とはなんとリスキーな投資なのか、と思わずにいられなかった。

イギリスでなにをするか

さて日程も確定した。
次は、ロンドンで5泊、まる4日間のフリータイムでなにをするか。

ロンドンの主要観光施設はひととおり押さえておきたいし、せっかくのイギリスなのでプレミアリーグも観てみたいし、演劇とか音楽とかも鑑賞してみたい。
1日くらいは日帰りで電車に乗ってちょっと離れた町など訪れてみたい。

あらゆる希望をできるかぎり叶えるためには「ぶらり出かけて、気ままに旅する」などと悠長なことは言っていられない。
私はロンドンを徹底的に研究した。
取捨選択、試行錯誤を繰り返し、旅行プランを練り上げていった。
出発までの2ヶ月あまり、休日などの余暇時間はほとんどすべて、旅行プランづくりに充てたと言ってよいだろう。

クリケットを観るべきか

大きな検討命題のひとつは、「イギリスでの国技であるクリケットを観に行くべきか」であった。
クリケットなど今まで一度も観たことはなかったし、イギリスにでも行かない限りは一生観ることはないだろう。
逆に、今回は一生に一度のクリケットを観るチャンスかもしれない。
しかしルールなどまったくわからないので、まずはYoutubeでクリケットの試合や好プレー集みたいな映像を観てまわった。
私にとってこの競技を現地で観戦する価値があるのか?
しかし・・いくら見ていてもルールがさっぱりわからない。

プロチームがあったり、競技場も大きいのがあったりして、それらのWebサイト等も見てまわった。
今回の滞在中にゲームが開催される、ということも探り当てた。
しかし、試合は連続で4日も5日も続くなかで、どの日程で観れば良いのか?
そもそも、その試合がプロのリーグ戦なのか、アマチュアの地区対抗戦なのか、親善試合なのか、それすらもわからなかった。
あまりなにもわからなかったので、さすがにクリケット観戦はやめた。

アビイ・ロードに行くべきか

奥さんが「るるぶ イギリス・ロンドン」を買ってきた。
そして、ビートルズの聖地特集というページを指さし「ここで家族4人で写真を撮りたい」と言った。
アビイ・ロードの横断歩道の写真だった。
私はアビイ・ロードのことはもちろん知っていたが、奥さんに言われるまでなぜか「あれはリヴァプールにあるものだ」と思い込んでいた。
ロンドンなら行けるのではないか、とプランに組み込むことを検討した。

しかし、最終的にアビイ・ロードに行くのは断念した。
理由はふたつあった。

ひとつは、アビイ・ロードの風景が当時と変わってしまっていること。
そもそも横断歩道の場所が当時とは違っているらしい。
また現在、道路には横断歩道手前であることを示すギザギザギザラインのペイント(路面標示)が描かれている。
これだとパッと見たときの印象がだいぶ違う。

もうひとつは、車の通行量の多さであった。
当地は宅地化が進み、車の往来が当時と比べ格段に増えていて、撮影するのがけっこうたいへんだという情報を得た。
そこで、実際のところどうなのか確認することにした。
アビー・ロードにはライブカメラが設置されているのだ。

数日間、空いた時間でライブカメラの監視を行なった。
日中はかなり頻繁に、早朝でもそれなりの量の車がこの道を行き来していることが確認できた。
多くの観光客が、車の行き来する合間をみて撮影を試みていた。
とうぜん横断歩道だから歩行者優先だし、車も待ってくれているけれど、それにしても皆堂々と撮影している。
そんな観光客たちの姿を見るにつけ「控えめな私たち家族がこんなふてぶてしく行動できるだろうか」と不安になった。
誰かにシャッターを押してもらうようお願いして、まごまごせずに横断歩道に出て、車を待たせて撮影を済ます。
そんなことをやってのける度胸が、はたして私たちにあるだろうか。

そんなことを考えたすえ、まあ今回はやめておこうということになった。

旅のしおり

旅行出発1週間前くらいまで試行錯誤を繰り返し、旅行プランが完成した。

現地滞在中訪問すべき観光施設、イベント、飲食店などを網羅し、かつ各施設の訪問順序や滞在時間も考慮し、移動で利用するバス・地下鉄の時間や路線・系統も組み込んだ。
「現地であらためて考えたり悩んだりしなくても、ここに書いてあるとおり行動すればまずハズさない」というものである。

情報源は各施設の公式Webサイト、各種情報メディア、個人のブログその他もろもろ。
交通機関関連では、ロンドン交通局Webサイト、Googleマップルート検索、あとはネット上のあちこちで推奨されている「Citymapper」というアプリも利用した(このアプリは現地においてより便利さを実感した)。

ロンドン観光スケジュール(一部抜粋)

もちろん、完全にこの行程表どおりに行動する、というつもりはない。
分刻みのスケジュールを書かれているとおりに行動しろと言われたら、あまりに窮屈で楽しむことができないだろう。
バスなんかは交通事情で遅れることもあるだろうし、急に誰かおなかが痛くなってトイレにこもることだってあるかもしれない。
その日の天気や気分、思いつきでプランを変更することも当然あり得る。
ということで、あくまでも「臨機応変に都度対応する」という前提でこの行程表を作成した。

現地入り前に一度シミュレーションをしておくことで、予備知識・情報が整理された状態で頭に入り、安心感も生まれた。
実際には行程表どおりでない部分も多々あったけれど、その場で迷ったり途方に暮れたりすることがあまりなかったから、良かったと思う。

行程表のほか、旅行全般の注意事項、訪問を予定している飲食店の概要や口コミを整理したもの、地下鉄路線図、ホテルの地図、などなど取りまとめた「旅のしおり」ができあがった。

円安、ポンド高

旅行の準備を始めた時期と同じくして、急激にポンド高円安が進んだ。
£1=190円越えるかどうか、くらいのはずだったのにいつの間にか200円を越えてしまっていた。

7月に入っても右肩上がりの状態で、8月には250円まで行くという予想記事まで出始めた。
これ以上値上がりしないうちに、と7月上旬、職場近くの両替所に駆け込み「早めに」ポンドに両替した。
その時点で£1=204円、両替所でのレートでは£1=216円あまりだった。

ロンドンの観光施設の事前予約も、空き状況よりも為替の推移を気にして早めに行ない決済を済ませておいた。

その後2週間ほどで急激に円高に転換するとは。。
予想もしていなかった。
為替相場はムズカシイ。
ぜんぶ8月になってから対応していたら、ゆうに1万円くらいは変わっていたはずだ。
なんというタイミングの悪さ。

しかし、もう過ぎてしまったことはしかたがない。
こうなったらあとはとことん楽しむしかない。

あとがき的なもの

そんなこんなのイギリス旅行から無事帰国した。
てゆうか、あれからもう1ヶ月がたとうとしている。

自分の記憶がまだ残っているうちに、あの素敵なイギリス旅行のことをすこしでも克明に記録として残しておきたい。
そう考え、Noteにしたためておくことにした。
だいたい書き上がったので、これから少しずつ仕上げながら順番に公開していこうと思う。

けれどあらためて読み返すと、おそろしく長い文章になっていた。
超大作、ということではなく、ただだらだらと続く文字のつながりだ。

ほんとうは、これからイギリスやロンドンを旅行する人たちにとってお役に立てる記事を書きたい、とも考えていた。
旅行前にうんざりするほど現地のことを調べて、あちこちのWebサイトやブログを見てまわって、それでもわからなかったことがたくさんあった。
事前情報と現地での印象が違っていたものもあった。
事前情報どおりのものも、もちろんあった。
そういうことを記録しておくことが、意味がある取組みであるかもしれないと思った。
だとしたら、「情報」として必要なものに絞り込み、余分なことがらを端折ってしまったほうが、読む人(がもしいるとしたら)にとってはよりわかりやすいものになるだろう。

それでもやっぱり、「このnoteは自分のために書く」ということにした。
ほかの誰に読んでもらわなくても、役に立ったと思っていただけなかったとしても、それはやむをえない。
これから何年もたったあと、自分や自分の家族がこの記録を読み返し、それで我が家のイギリス旅行について思い出すことができるとしたら、それが何より嬉しいだろう。
そうなることをひたすら願いつつ、この延々と続く文章をそのままに残しておこうと思う。

おことわり

この旅行記は#20くらいまで続く可能性があります。

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