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我が家のイギリス旅行記#03 第1日 後編 Bishops Finger
2024年の夏休み、家族で出かけたイギリス旅行の思い出をここに記す。
第1日、ロンドンに到着してからのこと。
2024年8月20日(火) 晴れ 20時 18℃ 25.9km/h, W
Barbicanにやってきた
朝、家を出て羽田空港に向かったのとまだ同じ日(時差があるので実際は翌日になったあたり)なのに、今はロンドンにいて地下鉄に乗っているのは不思議な気がした。
ロンドンは涼しい
そして、地下鉄に乗ってちょっと落ち着いたところで、東京とロンドンとの気温の違いにようやく気づいた。
この日の朝の東京は雨がぱらついていてやや涼しく27℃だった。
ロンドンは22℃だから、5℃違う。
ただ、それも最初は実感がなかった。
乗っている地下鉄で冷房がかかっていない(窓から風が入ってくる)ことに気づき、「ああ、こっちは素でこの気温なのか」とわかったのだった。
電車ベタな人たち
市街に入るにつれ続々と客が乗り込んできた。
中心部に向かう路線だけに予想はしていたが、それ以上の混雑ぶり。
しかもどの乗客も車両の奥に詰めないから、車両端が異常な混み具合になってしまう。
ロンドン市民なのか観光客なのか、おそらく両方なのだろうけれど、混雑電車に乗るのがおそろしくへたくそな人たちだ。
もしくはまったく周囲に配慮しない。
外国に来るたび思うのは、日本人の「混雑電車の乗り方」「行列の並び方」における対応レベルの高さだと思う。
日本人はレベルが高すぎて「へたくそ」な人たちと居合わせたときに戸惑ってしまう。
Green Park駅あたりから混雑のピークで、Piccadilly Circus、Leicester Square、Covent Gardenと繁華街の中心部の駅に停まるたび激しい乗り降りの応酬がある。
Elizabeth Lineでロンドンまで移動していたらこんなことにはならなかったかな・・・と思いつつ混雑に耐えた。
乗換えのKing's Cross St.Panclass駅に到着。
4人ともちゃんと降りられるだろうか、と心配するほどの混雑だったが、この駅でたくさんの人が降りたので問題なかった。
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はるばると長く複雑な構造の通路を経て、Circle Line に乗り換え。
2駅で目的の駅、Barbican に到着した。
Barbicanといえばバービカン
私にとってはBarbicanといえば「TaKaRaバービカン」だ。
といっても呑んだことはないけれど(笑)子供のころテレビCMでよく見ていたノンアルコールビール(のはしり)の名前だ。
地名だと知ったのは、このイギリス旅行のおかげである。
ホテルまではそこから徒歩4分ほどの距離だった。
18時過ぎ、ホテルにぶじ到着。
Citadines Barbican London
宿泊先はシタディーン バービカンというホテル。
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シタディーンは世界じゅうにわりとあるホテルブランドらしく、日本でも東京・横浜・京都・大阪にその名を冠したホテルがあるそうだ。
私はそれを知らなかった。
ここに決めた理由は、わりと新しい建物なのは不満だった(笑)ものの、部屋もきれいそうだしホテルとしてしっかりしている印象(インターネット上の写真とかクチコミとかからの推測)で、立地も良くて、そのわりに価格帯がリーズナブルだったこと。
リーズナブルさの秘密はあとになってわかった。
「長期滞在に最適なアパートホテル」というコンセプトで、ホテルとしてのいくつかのサービスが省略されていた。ハウスキーピングが別料金だったり、リネンの交換がなかったり(タオル等は自分で取りに行く)、アメニティグッズもほとんどない。
でもそれらのことは私にとって問題ないことだった。
とても良いホテルに出会えたと思っている。
チェックイン手続きはつつがなく進んだ。
部屋は202号室(スタジオルームにアップグレード、ダブル)と207号室(クラシックルーム、ツイン)がアサインされていた。
「夫婦はダブルでもよいが、息子たちは兄弟なのでツインルームで、それらをできるだけ近くにしてほしい」という希望を事前にメールで連絡していたが、まさに希望どおりの内容だった。
そのあとホテル滞在に係る事細かな案内が続いた。
丁寧で素晴らしいが、中身がまったくわからないのでただひたすら話が終わるのを待った。
Bishops Finger
日本時間だとすでに26時、つまり午前2時を過ぎている。
移動の疲れも含めさすがに眠くなってきたけれど、ここでめげていたらいつまでも時差ボケが解消しない。。と、当初の予定どおり夕食に出かける。
19時半、ホテルを出る。
ロンドンの日の入りは20時頃なので、まだ明るい。
そして、あたりは見慣れた風景が広がっていた。
出発前、GoogleMapに穴が開くほどこのエリアの道をストリートビューで行ったり来たりした。
そのときと同じ景色がそのまま目の前に広がっている。
だからこの町はもう、地図なしで歩ける。
ホテルを出て、Barbican駅を越え、その先の交差点を右に曲がる。
広い通りを進むと、右前方にスミスフィールド肉市場の建物が見えてくる。
左手にはOld Red Cow。
その手前に小径があり、そこを抜けるとThe Hand and Shears。
右折してSt Bartholomew 教会前の道を西へ進むと、教会の前にはRising Sun。
このあたり、注目すべき古老パブが点在している。
やがて視界が開けるとそこがSmithfield Rotunda Garden 広場である。
そして広場の向こう側に、Bishops Fingerがある。
出かける前から、初日の夕食はこのパブでと決めていた。
決めておかないとどこに入るにも怖じ気づいてしまい、いつまでたっても店を決められない。
そうなることを見越した作戦だった。
作戦のお陰で、躊躇なくそのパブに足を踏み入れることができた。
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Bishops Fingerは、さっき通りすがった3軒のパブとは違う雰囲気だった。
3軒のパブはどこも、店内に立ち呑む人たちが大勢いて外まであふれるほどだった。
あわよくばどれかの店に、と考えていたが、完全な初心者である私たちにはとても手がつけられなかった。
いっぽう、この店はだいぶ落ち着いた雰囲気だ。
店前にはテーブルが並び、何組かのお客が食事を楽しんでいる。
店内も立って呑むスペースはなく、皆テーブル席についてをビール片手に談笑していた。
テーブル席は大小高低さまざま、ぜんぶで30人分くらい。
ちょうど席が空いて、4人席を確保できた。
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ちなみに2階フロアも食事できるスペースになっているようだ。
席に家族を待機させカウンターに向かう。
さばけた感じのお姉さんが(雰囲気からは「おかみさん」というべきか)ドリンクの注文を受け付けてくれた。
ビールは私だけで、カウンターに並ぶいくつかの注ぎ口に付けられたラベルから適当に指をさして注文した。
残りの3人はソフトドリンク。コーラ、オレンジジュース、アップルジュースという感じでソフトドリンクも日本の大衆酒場よりは充実していた。
食事も注文するが、どのようにしたものか。
とりあえずテーブルにメニューが備え付けられていたので、だいたいアタリをつけたうえでそれをカウンターに持っていった。
「大将」というほどでもないがそれなりの歳に見えるお兄さんが相手をしてくれた。
メニューを指さして注文する。
イギリスだからやっぱり、のっけからフィッシュ&チップスかなとも考えたが、あえて肉系でせめることにした。
なにせスミスフィールド肉市場の目の前にある店である。
肉がうまいに決まっている。
「ソーセージ&マッシュを」
「ソーセージはあそこ(壁に掲げられたソーセージのリスト)から3種類選べるよ」
「おすすめはどれ?」
「ふにゃふにゃとほげほげともじゃもじゃだ」
「じゃあそれで。あとハンバーガーとミートパイ」
「どこか好きなところに座って待ってな」
「もうあそこに座っている」
「了解」
要約すればこのようなやりとりを、かなり時間をかけて成し遂げた。
お勘定については「先にここで払っても良いし、最後にまとめてでも良い」と言われたようだが、よくわからないのでその場で支払った。
お兄さんもやれやれという感じだった。
「英語が上手でなくて遺憾だ」と伝えると「問題ないさ、おれもアイルランド出身でイギリスの言葉がよくわからないよ!」と彼は言った。
Bishops Finger ご注文
Market Sausage’n’Mash £13.95
Choose 3 sausages from today’s market selection, add your mash (plain, cheese or mustard), served with caramelised onions and gravy
┗Gloucester Old Spot / Pork & Leek / Wild Venison & Red Wine
┗Regular Mash
TheBishop’s Treat £12.95 ×2
Top quality 8oz beef burger
Pork Pie £4.50
Spitfire Ale Pint £6.15
Coke Glass £3.10
Kingstone Water £2.80
Schweppes Juice £2.50
Total £58.9
ロンドン初ビール
さて、私がイギリスに来て最初に呑むビールである。
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BISHOPS FINGERはこのパブの名前でもあるが、フランチャイザーであるShepherd Neameのビールブランドでもある。
もちろん当該名のビールもあったのだけれど、なにを思ったか私が指さしたのはSpitfire(Amber Ale)というビールだった。
ベタ路線をあえて外すのは、性分なので致し方ない。
しかし、Spitfire は旨かった。
イギリスで最初のビールを、ゆっくり、味わっていただいた。
席でしばらく待っていると、お兄さんが料理を届けてくれた。
厨房がどこにあるかはわからなかったけれど、カウンターの奥の料理エレベータがありそこにできあがりが届く仕組みのようだ。
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ソーセージ&マッシュで選択したソーセージは「Gloucester Old Spot」「Pork & Leek 」「Wild Venison & Red Wine」の3種類だった。
「Gloucester Old Spot」は豚の品種名(もちろん、後で知った)。
「Pork & Leek」は直訳すれば「豚肉とネギ」。
「Wild Venison」は野生の鹿肉だった。
3本のソーセージのどれがどの種類なのかは知るすべもなかったし、それぞれを切り刻んでしまったからもうどうにもならなかった。
当てずっぽうに食べてみるとときどきやたら野性的な味がしたりしたが、間違いなく言えることは、どのソーセージも肉肉しくてとても旨かった。
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まだおなかには余地があるような気もしたけれどもう21時(=日本でいえば29時=朝5時)なので帰ることにする。
この店は、パブといっても「居酒屋」的なムードはあまりなく、どちらかというとレストランという感じだった。
家族での食事にもじゅうぶん対応していた。
ロンドン最初の夕食がここで良かったと思う。
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Bishops Finger 店舗情報
https://www.thebishopsfinger.co.uk/
9-10 W Smithfield, Smithfield St, London
Monday - Friday 11:00-23:00(food -21:00)
Saturday & Sunday Closed
Shepherd Neame Pub
ロンドン第1日はこれで終了である。
Barbican駅横にあるスーパーマーケット Tesco Expressに立ち寄ってミネラルウォーターなど買い込み、21時にはホテルに戻った。
#04(イギリス旅行第2日・前編)につづく。