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空と桜、ただそれだけ

津島美知子「回想の太宰治」は、面白い。
奥方が夫たる作家の人となりを書き綴ったというだけのものではない。十分な読み物に仕上がっている。
太宰治との思いでをまるで昨日起きた事のように詳密に記録し、またそれぞれの出来事ごとに、夫を見つめる美知子の天性の優しさと豊かな感性が織り込まれていて驚愕する。そんな美知子を妻に持った太宰を妬(ねた)ましくも思えてくる。クヤチイ~!

太宰治は美知子と結婚して、新居を甲府市御崎町に得て移り住んだ。新婚生活の様子を綴った一節はこうだった。

引っ越す前、酒屋、煙草屋、豆腐屋、この三つの、彼に不可欠の店が近くに揃っていてお誂え向きだと、私の実家の人たちにひやかされたが、ほんとうにその点便利よかった。酒は一円五十銭也の地酒をおもにとり、月に酒屋への支払いが二十円くらい。酒の肴はもっぱら湯豆腐で、「津島さんではふたりきりなのに、何丁も豆腐を買ってどうするんだろう」と近隣で噂されているということが、廻り廻って私の耳に入り、呆れたことがある。
太宰の説によると「豆腐は酒の毒を消す。味噌汁は煙草の毒を消す」というのだが、じつは歯がわるいのと、何丁平らげても高が知れているところから豆腐を好むのである。

私もまた、太宰の真似をするまでもなく豆腐でお酒を飲むのが大好きだ。というより、現にこれを書いている今もパソコンの横にはキリンストロング酎ハイ(レモン)とキムチをのせた豆腐がセットしてある。私が豆腐を好むのは上の理由ではなくて、ほとんど料理をしなくなった妻を横に、自分にも作る事が出来る酒の肴が、この冷や奴だからなのだ。 
「女手の揃わぬ我が家の慎ましさ哉!」

さて、先の週末は暖かかったので、私の住む町の、桜の開花もだいぶ進んだ。だが、こうして年齢を重ねてくると、あれほど楽しみにしていた桜の開花が、実際に目前で始まってしまうと、寂しさというものが強くもたげてきて、却って気持ちが沈んでしまうから不思議なものだ。ちょうど、楽しみにしていた海外旅行が始まって、乗った飛行機が陸を離れたときに感じるあの心境といったものか。嬉しいのに寂しい、そんな乙女心。

今年のはじめ、かなりの安価で買えたHUAWEIスマホP20proHW-01K ドコモ版、このカメラが高性能ハンパねえ大迫!見ての通り、空の青の抜け方が違う。嫁のXperiaと同じ風景を撮影しても差は歴然としていた。目で見た通りに写っている。いや「そのまま移って」いる。詳細設定も出来る。旅行には必ず持参していたコンデジも、これからしばらくは要らない気がする。恐るべし中国。やったぜファーウェイ!サンキュードコモ!(docomo だけの販売なのね)