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民事再生申立て~開始決定まで(その2)【中小企業の自主再建型民事再生】

 現在、民事再生の手続きについて解説をしているため目につきましたが、レナウンの子会社が、民事再生手続開始の申し立てをしたようです。

 本稿では、自主再建型の民事再生手続の一連の流れを、
① 民事再生手続きを選択するに至るまで
② 民事再生申立ての準備
③ 民事再生手続開始決定
④ 財産評定・債権調査
⑤ 再生計画案を作成し認可されるまで
⑥ 再生計画の遂行・終結

の6つの場面に分けて解説しています。
 現在は、③民事再生手続開始決定について解説をしており、これをさらに、
① 申立て直後の対応
② 債権者説明会
③ 開始決定によりどのような効果が生じるか

の3つのパートに分けて解説をしています。
 今回は、②債権者説明会についてです。

1 債権者説明会とはどのようなものか

 債権者説明会は、再生債務者が、再生債権者に対して、再生債務者の業務及び財産に関する状況又は再生手続の進行に関する事項について説明するための機会です。
 民事再生規則61条1項を法令上の根拠として開催されます。

(債権者説明会の開催)
第六十一条 再生債務者等(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人を含む。以下この条において同じ。)は、債権者説明会を開催することができる。債権者説明会においては、再生債務者等は、再生債権者に対し、再生債務者の業務及び財産に関する状況又は再生手続の進行に関する事項について説明するものとする。

 ご覧のように、規則上は、開催することが「できる」と定められており、開催は任意とされています。しかし、債権者の理解と協力が無ければ、民事再生手続を進めることができませんので、実施は必須と言えるでしょう。
 なお、債権者「説明会」は、裁判所の主催により裁判所にて行われる債権者「集会」とは別物ですので、注意が必要です。

 債権者説明会を開催する目的は、次の3つです。
①  債権者に対して、申し立てに至った事情、今後の取引条件、再生手続の見通し等を説明する。
②  再生債権者からの質問・抗議を受けて説明を行い、疑問点の解消を図る
③  以後、再生債権者の協力が得られるよう協力を要請する。
 ③が究極の目的であり、①、②はそのための手段とも言えそうです。

 債権者説明会実施後は、その結果の要旨を裁判所に報告する必要があります(民事再生規則61条2項)。

2 再生債務者等は、債権者説明会を開催したときは、その結果の要旨を裁判所に報告しなければならない。

2 開催日時

 申し立てによる混乱を早期に鎮静化させるためには、申立後できるだけ早く開催したいです。
 他方で、再生債権者に債権者集会の案内をして、再生債権者の出席の機会を与える必要があります。
 そのため、開催日は申立日の数日から1週間程度後が最適と言われています。

3 準備事項

 再生債権者の最大の関心事は、再生債権の支払いがどうなるか、今後取引を継続した場合、確実に支払われるか、でしょう。
 再生債権者のこのようなニーズにこたえられるよう準備をする必要がありますが、そのために、次のような配布資料を準備することが考えられます。
①  申立に至った理由や直近数年の収支状況、民事再生手続の概要と今後のスケジュール、清算配当率の見込み等を記載した説明資料
②  保全決定書・監督命令書の写し

 手元資料としてシナリオや想定問答集、受付用名簿を準備し、当日の出席者や役割を決め、リハーサルを行いましょう。

4 当日の流れ

 債権者説明会の一般的な流れは次の通りです。
① 開会の宣言
② 代表者の挨拶
 謝罪と今後の協力の依頼
③ 申立代理人弁護士による説明
 申し立てに至った理由や民事再生手続の概要・スケジュール
④ 質疑応答
 主に弁護士から回答をする
⑤ 閉会宣言

 所要時間は、①から③までで20から30分程度、⑤までで1時間程度であることが多いとされています。
 予定時間に限らず、再生債権者からの質問には真摯に対応しましょう。その後、再生債権者の協力は不可欠であるためです。

 上で申し上げた通り、債権者説明会実施後は、その結果の要旨を裁判所に報告します。

 今回は以上です。
 債権者説明会の大まかな流れがご理解いただけたでしょうか。
 以後、再生債権者の協力が得られるよう、できる限りの情報提供に努めましょう。

 記事をご覧いただきありがとうございました。
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