【回路設計】CRおよびシュミットトリガーインバータによるチャタリング防止
はじめに
今回は、機械式スイッチのようにチャタリングが発生する信号源から、CRおよびシュミットトリガーによる、チャタリングを除去したクリーンな信号を出力する回路を設計します。
チャタリングの観測
プルダウン抵抗と機械式スイッチを直列で接続し、プルダウン抵抗の出力側の信号をオシロスコープで観測すると写真のような波形が得られました。上下にバタバタ乱れる信号を確認できます。
設計した回路
マルツさんの解説を参考に設計しました。
https://www.marutsu.co.jp/pc/static/large_order/1405_311_ph
電子回路の過渡現象の基礎で出てくる、CRによるフィルターが前段にあり、後段ではCRでフィルターされた信号をシュミットトリガーで鋭利な信号に変換します。
CとRの値は、時定数(CRの積)から許容範囲の応答速度が得られるように設計します。
シュミットトリガーインバータは、こちらを使用しました。
https://www.marutsu.co.jp/pc/i/95795/
データシート
https://www.ti.com/jp/lit/ds/symlink/sn74hc14.pdf
試作
ブレッドボード上に試作しました。
シュミットトリガーの入力端子の波形、つまりCRフィルターの出力はこのようになりました。2ms/divで観測しました。CRフィルターによるなめらかな波形が得られています。その分、応答速度も遅くなっています。
シュミットトリガーの出力端子(Debounced)の波形は、このようになりました。それぞれ2ms/divと10us/divでの結果です。非常に鋭利でクリーンな信号が得られていることが確認できました。
おわりに
CRおよびシュミットトリガーを用いたチャタリング防止の仕組みを実際に回路を試作して検証しました。電子回路は、機能の単位に分解しミクロ的な視点で理解し、それらの機能を統合したマクロ的な視点でも理解することで、全体の動作をつかむことができます。今後も基礎的な事項の実験を繰り返しつつ、少しずつ複雑な回路を紹介していければと思います。
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