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私が思う、優れたWeb制作会社の5つの共通点

同業の知人に、noteでの発信をはじめたことを伝えたところ、このテーマで記事を書いて欲しいとリクエストいただきました。

「優れたWeb制作会社の共通点はなにか?」

です。私自身もWeb制作に従事してきた立場ですので、あまり上から目線の論評のようなことはしたくない(というかできない)ですが、「このような制作会社はとても素晴らしいな」と個人的に感じる点について、いくつか書いて見たいと思います。

そして、私は現在、自社事業を経営しているので、制作会社やデザイナーに仕事を依頼する立場でもあります。実際に私が厚く信頼して仕事を継続的に依頼しているパートナーの特徴という視点も含めて、書き出してみようと思います。

①企画力がある

優れたWeb制作会社は、「よいホームページをつくります」ではなく、「貴社のビジネスを成功させます」というスタンスで、クライアントと対峙している印象があります。

Web制作を目的ではなく、手段と捉えていて、その根っこにあるクライアントの課題について深く考察する姿勢があります。
たとえば、私が案件を依頼する際のミーティングでは、「どんなWebサイトをつくりたいのですか?」ではなく「なぜWebサイトをつくりたいのですか?」と、質問してきてくれる印象があります。
「どんなWebサイトをつくるのか」はクライアントに尋ねることではなく、制作会社側で企画し、提案するものと捉えているのだと思います。

そして、実際に提案してくださる際は、当社のビジネス上の課題に対するアプローチ方法からのプレゼンテーションがあります。背景や目的をあらためて整理した上で、「手段としてのWebサイト」を提示し、デザインについても、戦略としての狙いや意図を明確に提示いただけます。
これはとてもありがたいことです。

②コンテンツから作れる

優れたWeb制作会社は、「素材ください」ではなく、「情報をください」というスタンスで、クライアントと対峙している印象があります。

「文章や写真はそちらでご用意ください」というすスタンスの制作会社が多い印象があります。Webサイトを構築する部分だけを依頼するニーズもあるとは思いますが、発注者側からすると、コンテンツそのものを自社側で用意する負担は大きく、クライアントのアセット次第では素材の用意さえできないことも多いと思います。

また、コンテンツ作成がすべてクライアント側の仕事で、実際に対応できるのであれば、Webディレクションの主要部分はクライアント側で内製化できてしまうことになるため、あとは社内でWeb構築ができる人を採用するか、スポットでデザイナーやコーダーだけを外注で採用するという方向にシフトする気がします。

優れているWeb制作会社はそこがよくわかっているので、Webサイトの中身そのもののコンテンツ部分から、企画提案するスタンスがある印象です。
そのため、打ち合わせ時には、素材はご用意いただけますか?ではなく、素材となりうる情報(ネタ)のヒアリングから行っています。
それをどのように伝えると魅力的になるかの「切り口」を考えて、提案してくださいます。

また、コンテンツ作成に必要となるチーム編成の力も有しています。
たとえば、インタビューコンテンツの場合には、質の高いライターやカメラマンなどをセッティングしたり、サービスの魅力を伝えるための図解コンテンツの場合は、イメージと合致するタッチを持っているイラストレーターを制作チームに加えてくださいます。

コンテンツの企画制作が得意な会社は、さほど多くない印象もあり、このような動きができるWeb制作会社は、何度でも依頼したいなと思います。

③見積もり項目が詳細かつ明瞭

優れたWeb制作会社は、「コストがかかります」ではなく、「投資が必要です」というスタンスで、クライアントと対峙している印象があります。

ご予算はいくらですか?というのは、もちろんWeb制作会社がクライアントに確認する必須項目のひとつと思います。
一方で、クライアントからすれば、何をするといくらかかるのかについては、ほとんどブラックボックスです。
逆にいえば、いくらの予算をかければ願いが叶うのか、課題解決に近づけるのかがわからないので、そこから相談したいのです。

よって、Webサイトを通じて叶えたいことなどのコミュニケーションを取る前に、「ご予算いくらですか?」と聞かれたとしても、クライアントからすれば、「いくらって言えばいいのだろうか」「そんな安い予算じゃ馬鹿にされてしまうかな」など、戦々恐々としてしまう部分があります。

優れたWeb制作会社は、クライアントに予算を聞くのはけっこう後な気がします。
まずは課題のヒアリング、なぜWebサイトをつくりたいのか、あるいはリニューアルしたいのか、その先にどんな結果を期待しているのか。
そのようなコミュニケーションの後で、企画立案とともに、どのくらいの投資が必要になるかをプレゼンテーションするスタンスです。

おおよその予算を伺うことはするけれども、正しい予算をクライアントが事前に建てつけられるわけではないことも理解しているので、確認はしておきながら、「それってコストかかりますよ」ではなく、「課題解決のためにはもう少し投資したほうがよさそうです」と企画とセットで、予算づくりまで提案してくださる印象です。

さらに、「一式いくら」みたいな漠然とした見積もり書ではなく、わりと詳細な項目と成果物を記載しています。
企画と見積もりが連動していて、何をやるとどんな成果が期待できるのかが、とてもわかりやすいです。

そのようなWeb制作会社と出会えたら、絶対手放したくなくなります。

④1人の対応幅が広く、過度に分業しない

優れたWeb制作会社は、「担当に変わります」ではなく、「私が対応いたします」というスタンスで、クライアントと対峙している印象があります。

1つのWebサイトをつくるには、多くの工程があるため、多くのWeb制作会社は分業スタイルになっています。
営業、ディレクター、デザイナー、コーダー、エンジニアなど、1案件に5人くらいが必ずいて、さらにコンテンツ制作部分で、スポットでライターやカメラマンやイラストレーターなども加わります。

そのため、営業の役割は仕事を契約すること、ディレクターは企画や制作進行管理を行うこと、デザイナーはデザインカンプを作成することなど、効率よく制作を進めるために、役割がはっきりしていることが多いです。

一方で、Webサイトの制作は、絶対的な正解がないので、制作を進めながらもクライアント側が途中で修正希望を伝えたりすることもあったり、ローンチ後に追加でこうしたい、ああしたいなどの要望が出ることもあります。

Web制作会社側からすれば、細分化された分業スタイルで各担当の工数を管理し、複数案件を並行して手掛けていたりするため、手戻りが発生することは大きなリスクに繋がりかねません。
なので、「修正は2回まででお願いします」「この先で修正が出た場合は別見積もりです」などと、牽制球を投げていたりします。

担当者が細分化されていると、意図しないクライアントからの要望に直面した際、どうしても、それは営業に聞いてくれ、デザイナーに直接相談してくださいなど、社内ロシアンルーレット的な悪循環が発生しやすいです。

優れたWeb制作会社は、Web制作やデザインはそもそもファジーな仕事であることがわかっているので、1人あたりの裁量やカバー領域が大きい印象があります。
優秀なデザイナーいる会社は、デザイナーがディレクターの役割も併せ持っていたりすることもあるので、クライアントの要望に柔軟にスピーディーな対応が可能となっています。
その逆もしかりで、優秀なディレクターは、デザインのこともよくわかっていて、クライアントとデザイナーの間のコミュニケーションロスを少なくでき、かゆいところに手が届く修正案を出してくれたりします。

⑤クライアントと継続的な関係がある

優れたWeb制作会社は、「サイト公開しました、これで納品です」ではなく、「サイト公開しました、いよいよビジネスのスタートです」というスタンスで、クライアントと対峙している印象があります。

Web制作会社のビジネスモデル自体が、たくさんの案件を効率よく納品することで売上・利益を向上させる形となっている場合が多いため、「手離れをよくしたい」「納品後の保守はなるべく引き受けたくない」という会社が多いような印象です。

保守契約があったほうがビジネス的には安定化する気もしますが、「Webサイトを作ること」にやりがいを感じるため、WordPressの脆弱性対応とかばかりになってしまうと、会社全体のモチベーション低下にもつながってしまう部分があります。これはWeb制作会社側の視点では、とても悩ましい部分ではないかと思います。

一方で、優秀なWeb制作会社は、クライアントとのゴールをWebサイトの公開ではなく、ビジネスの成功と定義しています。
よって、サイト公開後のマーケティングやブランディングの支援までをサービスとして提供していて、公開後のWebサイトの更新やコンテンツの運用、なにかあった場合の保守など、包括的な継続契約を提案してくれる印象があります。

作っておしまい、ではなく、ここからがスタートです。
のスタンスがある制作会社は、クライアント側からすれば、絶対に手放したくないパートナーとなると思います。

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