2023夏に聴いた「怪談乳房榎」|柳家三三師匠 & 蜃気楼龍玉師匠
冬に怪談噺の話題もなかろうもん、という感はありますが、今年の夏は「怪談乳房榎」を聴く機会に恵まれたので、メモ。
柳家三三師匠版(於 鈴本演芸場)
三三師匠の主任興行、ネタ出しに伺いました。
寄席での興行なので、後述する龍玉師匠版よりはコンパクトながら、三三師匠の噺の巧みな立ち上げ方にすっかり呑まれました。
引き込むの、う、うま〜(いまさら)。
この日は、認定後初めて雲助師匠を拝見しに行った日でもあったねえ。
三ヶ月くらいぐるぐる考えていた割には、初期につぶやいた内容と結論がおおよそ同じな件。ワイは阿呆なのか。
蜃気楼龍玉師匠版(於 国立演芸場 独演会)
毎年開催されているいがぐみさん(*)の興行。龍玉師匠の会は、芝居の外題や怪談噺を本田久作さん翻案の本で上演されており、一昨年は「女殺油地獄」を拝見しました。今年は「怪談乳房榎」。
(*)いがぐみさんは他にも、雲助師匠・一朝師匠・小里ん師匠の三人会をいたちやさんから引き継いで「くもいっちょこりん」の名で開催もしてくださっている、ステキな興行主さんです。
通し上演かつ、龍玉師匠が口演することを前提としたいわば当て書きのホンを、龍玉師匠の語りの凄みとご自身の身体的な特徴をも活かして上演されていて、とても濃い時間でした。
蜃気楼龍玉「怪談乳房榎」通し上演
おせき口説き
重信殺し
〜
十二社の滝
赤塚村乳房榎
20230816
国立演芸場
「怪談乳房榎」前半の読後感が、「え磯貝浪江きもちわるいんですけど……」で終わらずに済むのは、重信先生の描くことへの凄まじい執念が、芸術への動力が、人間のあさましい欲望や愚行に打ち勝ったように感じるからではないのかな、という気がしました。
重信先生と浪江、どちらも業が深いなァとわたしは感じているのだけれど、その先に生み出されるものが、泥中の蓮さながら美しいものであるならば、目を逸らさずに観ていたくもある。重信先生のようなひとは、良くも悪くも人目を引くんだ。
圓朝の原作を読んでいないので本田久作さんオリジナルなのかは未だ不明ですが、今作だと舞台となった重信の屋敷が次の因縁を呼び……と「怪談牡丹灯籠」に続く流れになっていました。面白い。
話芸に余計な効果は要らない・心の眼で見たい派なので、正直コロコロ変わる照明は好みではありませんでしたが(うるさいこと言ってごめんなさいね)またお邪魔したい会です。でも照明演出はもうちょっと考えてほs(ry
マヨ太郎の表記も今年できっちり覚えました。