5周年記念のお祭り感がなんとも楽し|黙黙派 VS 労働者たち
娯楽百貨 5周年記念興行
黙黙派 VS 労働者たち
柳家小はぜ 猫の皿
雷門音助 加賀の千代
〜仲入り
立川寸志 がまの油
弁財亭和泉 影の人事課
トーク
新宿シアタートップス
20220724
こちらは、マガジン『メモログ』の記事です。
『メモログ』は、自分のための感想覚書を蓄積するために作成したもので、ひとさまに読まれることを前提としていません。そのため、文章の体裁が整っていなかったり、構成がめちゃめちゃだったりします。
それから、ネタバレにも気持ち程度にしか配慮していませんし、基本ザル耳なので、内容が間違っていることもあります。
ご覧くださる奇特なかたは、どうかもろもろ悪しからずご了承ください。
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娯楽百貨さんの5周年記念興行にお邪魔する。
落語会には本当にたくさんの興行主さんが存在するけども、一部の演者さんを選り好んで聞いていると、どうしてもお邪魔する会も偏ってしまって。わたしが娯楽百貨さんのことを知ってお邪魔するようになったのは、二ツ目さんの会に足を運ぶようになってから。
ニワカが「記念」とか「周年」がつく会にお邪魔するのは、どんなものでも少々気がひけてしまうのだけれど、お祝いならではの特別番組、かつ、お祭り感がとても楽しくて、行けてよかった。
普段はグッズなど欲しくならない人間なのだが、思わずこはぜ珈琲さんの記念ブレンドとオリジナル手ぬぐいを買い求めてしまった。消耗品は強し(記念品を消耗品とか言うんじゃありません)。
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小はぜさんの「猫の皿」。この噺、わたしは寄席でしか聞いたことがないからか、川の情景がはいっているのを聞くのは初めて。景色が入ると一気に旅感が出ていいな。川の涼しげな様子と、ふところが猫の毛だらけで暑っ苦しい様子と、そんな遠景近景の差が楽しい。
徒労の旅の帰りに、さらなるエラーを招いてしまったという噺だったんだね。道具屋さん、お疲れさまです。
猫ちゃんナデナデ時間が比較的長めで、思わずのけぞる猫ちゃんの気持ちよさげな様子がかわいい。この道具屋さん、間違いなく猫好き。
ちなみにわたしは犬にさわりたい(なんで)。
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音助さんの「加賀の千代」。音助さんの高座で出会う噺は、よく聞く噺でもわたしが知っているものとは少しずつちがっていて、どこかマイナーチェンジされている印象がある。以前聞いた「長短」で、気の長いほうの人が上方弁だったのが印象的だったからかな。これまで雷門の亭号になじみがなかったから、よりそう感じているだけかもしれない。
「加賀の千代」も、系譜(?)的なものか音助さんオリジナルかはわからないのだけど、「ご隠居さんいますか」や「驚いちゃいけませんよ」のあたりの、おキヨさんやご隠居との問答で、甚兵衛さんのもたもたした(ある意味とても律儀に段取りにのっとろうとする)感じが少なめで、するする進んでいくので聞きやすい。
百二十円、二百二十円を目の前にした甚兵衛さんの泣き出しそうな顔とご隠居さんの包容力(なにも言わず腕を広げるw)の対比もたのしい。
なにより最後に、ご隠居さんちのおいしいまんじゅうを出してくれたのが、もううれしくなっちゃった。甚兵衛さんじゃないけど、これは引き戻されちゃう。
ゲンキンな甚兵衛さん、たぶんまんじゅう食べ終わったら、またすぐ失礼しようとするんだろうな。罪なおとこだ。
そういえば、わたしは全然知らなかったのだけど、この会は「勤労噺」縛りだったらしく、音助さんは「あえて働かない人を」とこの噺をなさっていて、それもなんだか面白かった。
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仲入りはさんで、「労働者たち」のおふたりにバトンタッチ。
寸志さんの「がまの油」。酔っぱらって企業秘密をぜんぶ明かしてしまう油売りがなんとも愉快。そういえばわたし、酔っぱらいを演ってる寸志さんを見るのは初めてだった。酔っぱらい加減がいかにも気分よさそうで、それだけで楽しい。酔うと方向わかんなくなっちゃうこと、あるある。笑
最初の口上が立板に水のような、耳に心地よい言い立て。いいお声だなあ。
「がまの油」は最初からフルスロットルだと聞いていて疲れてしまうことがあるのだけど、前半の音の心地よさから、後半一気にキャラクターが爆発していくので、終始楽しかった!
大道芸人だから本当は大きく声を張り上げてハキハキ伝えるのが正解なのかもしれないけど、個人的にはリアリティよりもバランスがうれしい噺だなと思ったりした。べつに言い立ての言葉が聞き取りづらかったって意味じゃなくってね。
でもこの人、あとで仲間たちから間違いなくボコボコにされるよね。笑
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和泉師匠は唯一の新作。じつは和泉師匠の落語を生で拝見するの初めて。評判はかねがね拝見していたので、ようやく出会えてうれしい!
登場人物のキャラが全員立ちまくっていて、もうそれぞれの登場シーンだけでわらけてしまう。影の人事課のお姐さんの正体を明かしたときのポーズ、絶対腕組みの片足立ちだと思う。令和には希少な人材だ。ついでにサングラスかけてクイッてしてほしいw
同席していた方たちの感想を拝見していると「リアル」というのをたびたび見かけて、ほうほう人によってはリアルなんだな?と。わたしは、ここまで仕事しない人や、あからさまなセクハラ・パワハラ発言にはそんなに出会ってこなかったので(職場では)、あくまでも現実のパロディとして楽しく受けとめつつ、けれど、終盤に向かうにつれて、マツウラさんを応援している自分を見つけるという。不思議。笑
マツウラさんが「よく眠れない」と言ったときに、後輩のヤマグチくん(だったかな?)が「ハイハイ忙しいアピール乙」的なこと言ってきたらどうしよう…つらい……とハラハラしていたんだけど、「俺もSNS更新で寝れてないっす」的なことを言ってて、ごめんだけど心底安堵した。
彼は悪意があるわけではなくて、本っ当になにも考えていないだけなんだね……!まだ救いがあるよ!大丈夫だよ!(なにが)
マツウラさんの就業環境が改善されて、影の人事課さんと落語会に行ける未来が早くきますように。わたしも残業はこじらせたくないけど、落語はどんどんこじらせていきたい。
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会の最後に四人集まってのトーク。
皆さん前職のときの仕事着をお召しになって登場。なぜか和泉さんだけは、娯楽百貨さんご用意の衣裳とのこと。ビビットな色味がお似合いなの、うらやましい〜!
自前だから当たり前だろうけど、他の御三方もよくお似合いでした!
細身のスーツをお召しになっていた小はぜさん、約10年前とほぼ体型変わっていないってことです?すごいな。
音助さんは、義理のお父様からの贈り物のネクタイつけているの素敵だったし、寸志さんはあのお姿に、ぜひおじさんサンダルを合わせて履いていただきたい。絶対ステキ(個人的な趣味です)。
小はぜさんは特にトークのイメージがなくて、日頃修行僧を見つめるような心持ちで有り難く高座を拝見していたので、この日はちょっと色気を出したところが見れてとても面白かったですw
たぶん、家で革物とか育てて、こっそり楽しんでるな。(※イメージ)
和泉さんの「会社員時代の合コンの話が聞きたい」という切り込み方、まさしく「影の人事課」を創った人だな〜という感じで、それもすごく面白かった。人生は落語のネタだらけ。
トークコーナーのことは軽くTwitterにも書いて満足したので、あとはその場にいた人たちのおたのしみ……ということで。
楽しい会に参加できて、感謝感謝でした!
これからも末長く娯楽百貨さんが続いていきますように。
第9回メモログのメモ:こうして長文を書くときに不安だったのが、ただの感想を自己アピールに置き換えて、それほど思ってもいないような「良さげなこと」を書こうとしてしまわないか、ということだったのだけど。今のところは特にそんなこともなく安堵している。
むしろ、文字に変換しながら、ああだったなこうだったなと思い出されることも多いし、自分のなかで、他のできごとと有機的につながっていく感覚もあり、二重三重に楽しいかもしれない。
時間はかかるし、勘違いもあるだろうけど。でも、このnoteはあくまでも百川の若い衆のスタンスだからね、いいのよいいの。