ラクダが全力で走る姿は、SF映画に出てくるロボットのようだ。
普段はのんびりと伸ばしている首を下げて水平に近づけ、大きな体に不似合いな細く長い足を素早く動かし、胴体をほとんど揺らさずに移動する。
暑く乾いたオーストラリアの砂漠アウトバックを悠々と走る彼らは、開拓時代にアラビア半島やインドから輸送用に輸入されたラクダの子孫である。人間の都合で連れて来られ、捨てられたラクダが、日本の面積を超える広大なアウトバックで繁殖を続けているのだ。
赤い砂漠を自由自在に走るラクダには、自分の祖先がどこから来たのかなど、大した問題ではないのだろう。この地に生まれ、焼けるように暑い夏を平然と乗り越えていく。