恋草

シェアメイトを探すなら、募集の広告は本屋か図書館に出しなさい。本をよく読む人は、信用できるものだから。

そう母に言われた妹は、女学生二人で暮らしていた三部屋の家に、もう一人シェアメイトを探そうと本屋に広告を出した。

その広告を見て、彼女たちの家を訪れたのは、少し気の弱そうな青年だった。恋人でない男女が同じ屋根の下で暮らすことは、この国ではめずらしくない。女学生二人は、控えめな青年が気に入りシェアメイトとして受け入れた。

青年は綺麗好きで、物知りで、料理が上手かった。三人は毎日楽しく暮らしていたが、ある日、女学生の一人が家を出ることになる。オーストラリアの植物について研究をしていた彼女は、西へ旅立った。

妹と青年は、それ以来、この家に二人で住んでいる。時が流れ恋が芽生え、夫婦となった二人の元に、もうすぐ小さな命が生まれてくる予定だ。

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