北朝鮮「南北統一やめます」
以前にこの話をTwitterでスレッドにして書いたのだけれども、字数の都合であまりちゃんと書けなかったり、反射で書いているので分かりにくくなってしまったりしたので、noteで書き直してみる。これから個人的な考えを述べる時は、文章力を身につけることも兼ねて、こうやってnoteにまとめてみようと思う。
ここではニュースの詳しい解説はせず、個人的な所感を述べる。1本あたり1000字前後を目安にしたい()。
北朝鮮、国家戦略を転換
北朝鮮、偵察衛星3基発射へ 「南北統一目指さず」:日本経済新聞
従来の北朝鮮の国家戦略としては、第一に南北統一、第二に体制の維持という2つがあった(出典は北朝鮮の軍事にとても詳しい本/下図)。
今回の宣言はおそらく、2つあった目的のうち1つ目の(武力による)南北統一を捨て、今後北朝鮮の戦略は2つ目の体制維持のみに舵を切る、ということなのだろう。
おそらく背景にあるのは、現在の北朝鮮は経済力も工業力も軍事力も韓国に劣っていて、もはや第二次朝鮮戦争による南北統一なんて現実的に無理だということ。また軍隊というのは、有事においては唯一無二の働きをするが、平時はただの穀潰しである。もちろん、有事に備えて訓練してるわけだけれども、北朝鮮における有事とはつまり第二次朝鮮戦争のこと。それを諦めれば平時の穀潰しも減るのだ。
朝鮮人民軍は総勢120万、これは北朝鮮の人口の5%、労働人口の1〜2割程に相当する。日々の食事にすら困るほどの北朝鮮は、こうした通常戦力を減らして生産に当てたいことだろう。
これが良いことなのか悪いことなのかは主体によって異なるので後述するが、北朝鮮がより現実に則した戦略をとったのだということは言えると思う。
具体的な対応は?
北朝鮮の今後の具体的な軍事戦略としては、南北統一のためだった(第二次朝鮮戦争での南朝鮮侵攻に備えた)通常戦力を削減し、(逆侵攻への)抑止力としての核戦力を強化するということになるだろう。
日本としては、朝鮮有事の可能性は減ったものの、核戦力は寧ろ強化され、そのためのミサイル・ロケット開発と訓練発射も増えていくであろうから、普通に厄介な話だと思う。アメリカにとっても同様であろう。
韓国にとってはより複雑で、これにさらに南北統一をどうするかという問題が加わる。武力による統一はまずありえない。北朝鮮の姿勢を見る限り、宥和的解決も放棄するようなので、その選択肢も厳しいだろう。しかし、韓国には南北統一を放棄する積極的な理由はないので、おそらく従来同様、今後も南北統一を目指しつつ現状維持を続けるということになると思う。
そしてこの問題は時の政権によっても変わる。現在の政権が続く限りは現状の対北姿勢を維持するだろうが、もし与野党が交替することになったら、当方は韓国情勢の専門家ではないので、どうなるのかちょっとよく分からない。
また、核開発強化ということは偶発的な衝突が起きやすくなるということでもある。そしてその時に北朝鮮はとれる手段が少ないので、容易に事態がエスカレートするだろう。最前線の韓国は厳しい対応に迫られるだろうが、日米にとっても他人ごとではない。
結局どうなるのか?
北朝鮮はこれまで東アジアにおける問題児扱いされてきたが、これからもやっぱり問題児であり続けるだろう。
北朝鮮が体制維持に注力する限り核兵器とその運搬手段(ミサイル)開発は継続強化されるだろうから、日本の安全保障にとってもさらなる脅威となるだろう。今後も日本は国際社会を率いて、北朝鮮に対して厳しい姿勢で臨まなければならない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?