連載:プロジェクトのリーダー&サブリーダーに聞く 05
~お城下町まちづくりコミューン編~
三の丸エリアプラットフォーム(以下、◯◯◯AP)は2023年度、
“誰かに語りたくなる暮らし”の実現を目指す
6つのプロジェクトを支援・推進してきた。
『◯◯◯ Magazine』では連載企画として、
各プロジェクトを牽引するリーダーとサブリーダーを紹介中。
5回目の今回は、かつては映画館も点在するエンタメ街だったエリアを含む、
この界隈の代表者に話を伺った。
お城下町まちづくりコミューン
<主な活動場所:上土・緑町界隈
大正時代の建物やかつての映画館が残り、三の丸エリアのなかでもひと際味わい深い町並みが残る上土(あげつち)町。そこを貫く「上土通り」が活動の中心。
<2023年度の主な取組
・お城下町パフォーマンスフェスティバル(9月30日~10月8日)の開催 など
(詳細はこちら)
Q1)2023年度のふりかえり
長年にわたり地元商店街の振興に取組み、松本青年会議所の理事長や松本市議会議員も務めた増田さんにとって、三の丸エリアを中心とする◯◯◯APの活動はどんなふうにうつっていますか?
ご存じのとおり、地元の商店街を含め、地方都市の活性化というのは全国各地で永遠の課題です。だから長い目で見ていく必要があって、時代時代でいろいろな取組が出てくるのは当然のこと。この◯◯◯APの活動もそうしたなかのひとつですが、局地的な取組だけにとどまらず、ほかのエリアの人とつながれるのはいいポイントですね。
今後はきちんと活動上でもつながっていければ、もっとよい。ですが、まずは昨年の三の丸の取組を通して、これまでの自分たちの活動に気づきがもらえたことはよかった。お城下町としてはこれまで以上に、心の豊かさを実感できる町になるよう、活動を重ねていきます。
サブリーダーの永高さんは、かつて映画館だった「上土劇場」を拠点に、毎年大きな演劇祭も続けられています。演劇の力は、地域活性の力にもなりえますか?
ここには文化に特化した町づくりを進められる素地がありますから、なれますよ。町でアーティストを育てるという試みは、まだどこも成功していない。町の人たちとそういう目標を共有して、アーティストの活動を後押しし、それを通じてアートを町と融和させるような試みを、一歩でも二歩でも先に進めたいと思っています。
Q)お2人とも演劇に力を注いでいますが、何か、演劇にまつわる原体験をおもちですか?
永)1987年に松本青年会議所が行った『現代演劇フェスティバル』で、初めて生の演劇に触れました。フェスは9年ほど続き、その効果で松本市内に10くらいの劇団ができたんです。だからフェスが終わると知った時、その火をたやしてはいけないと思って『まつもと演劇祭』の立ちあげに関わった。そこからもう30年ほどは続けています。
増)『現代演劇フェスティバル』は、僕が青年会議所にいた時代に実現した取組でした。演劇ってのは、ギリシャ時代から人間の表現として続いているんだから、すごいことですよ。だから界隈のこういう取組も、長く続けていかなければ。
永)そのためにも、松本で育った演劇人が、東京とかに出ていくんじゃなく、地元で表現を深めていけるような町にしたいんです。演劇だけじゃなくて音楽やパフォーマンスなど、さまざまな表現を。
増)そうですね、音楽も盛んになるといいと思いますね。僕自身も中学校時代は合唱部で部長でしたから、音楽には思い入れがある。でも先日久しぶりにカラオケに行ったら、音痴になっててねえ(笑)。合唱だけじゃなくフルートやホルンもやったし、ずっと音楽には触れてきたけど、お遊び程度だったからなあ。でも演劇にたずさわった経験は、実はまったくないんだよね。
永)僕も学生の頃は、演劇なんて……とむしろ嫌厭してたくらい(苦笑)。中学校の頃はバレーボール、高校では剣道。演劇にまったく興味はありませんでしたよ。そこから考えれば不思議なことをやっているなあ、今(笑)。
増)でも演劇は人の心を豊かにしますよ。やる人も見る人も、そしてここで働く人も住む人も、みんなが心豊かになる。この界隈がそんな町になったらいいよね。
永)まずはその素地をつくっていきたいですね。プロとして独り立ちするのも大事だけど、拠点となる町があり、そこでライフワークとして演劇を続けていけることも大事だと思いますから。
演劇祭など、イベントの中心地としてはもちろんですが、日常的にお芝居や音楽、ダンスなどを学んだり楽しんだりする姿が見られるような町、確かに素敵です。2024年度には「アーティスト倶楽部」の立ち上げもあるそうですから、とても期待しています。
社会実験写真/古厩 志帆 人物写真/文責:◯◯◯ap Magazine編集部