連載:プロジェクトのリーダー&サブリーダーに聞く 04
~THE SANNOMARU TERRACE プロジェクト編~
“誰かに語りたくなる暮らし”の実現を目指す
6つのプロジェクトを支援・推進してきた
2023年度の三の丸エリアプラットフォーム(以下、◯◯◯AP)。
当ウェブマガジン『◯◯◯ Magazine』では過去3回にわたり、
それらのプロジェクトを牽引するリーダーとサブリーダーを紹介している。
4回目となるこの号では、松本城への表玄関であるこちらのエリアに話を聞いた。
THE SANNOMARU TERRACE プロジェクト
<主な活動場所:大名町界隈、松本城南・西外堀界隈、松本城大手門跡界隈
松本城に至るメインストリートの「大名町通り」を中心とするエリアで、「枡形跡広場」や、大規模な整備が進む「外堀大通り」を含む。
<2023年度の主な取組
・滞留空間(通り/広場)の創出(通年)
・三のマルシェ(4月1日、9月16・17日)の開催
・光と氷のICE・BAR三の丸(2024年1月27日)の開催 など
Q)2023年度のふりかえり
女鳥羽川にかかる千歳橋から松本城までの「大名町通り」を中心にしたこの界隈。観光客が集まると同時にビジネス街でもあり、老舗から新顔のショップ&カフェも並ぶ、松本のメインストリートのひとつです。長年このエリアを拠点に活動している組織「三の丸倶楽部」が、◯◯◯APのプロジェクトの主体でもありますが、どういう経緯で結成されたのでしょうか?
この大名町通り界隈には老舗が多く、歴代にわたる町内会の役員も、大きな組織や老舗の代表が務めていたりしました。僕らがここに入ってきたのは10年以上前でしたが、完全によそ者で……アウェイでしたね。
ただ、松本城三の丸エリアビジョンに基づいて道路整備が検討されてますが、当時も、復元する外堀と並行する外堀大通りの拡張計画があるなど変化の真っ最中だったため、自分たちのエリアだし、主体性をもって参加しないと、という勢いはありました。
当時は(サブリーダーの上原さんもあわせて)2人ともJC(青年会議所)を卒業したばかりだったこともあり、町づくりのノウハウはもっていた。それと根気だけを武器に、何とか界隈に入っていった感じでしたね。そこからいろいろ経験と活動を重ねて、2015年に僕が座長、副座長は上原で「三の丸倶楽部」を設立したんです。長期ビジョンをもって持続可能なまちづくりをしていこう、と趣意書などもしっかりつくりました。
そうですね。ただ、「三の丸倶楽部」には大名町を活動エリアとするいろいろな立場の人が集まりましたから、一人ひとりのもっているビジョンも違う。だからまずはイベントとかをやるなど、とにかく動いてみよう、そこからいろいろな人に怒られながら修正していこう(笑)、という感じのスタートでした。
年間スケジュールをたてて、マルシェやアイスバー、夜桜バーなど季節のイベントを計画して。だから今◯◯◯APで行っているイベントは、ほとんどがその頃からの継承です。松本城に行くための通過地点ではなく、「にぎわいまち」にしていこうということで、当初から続けてきました。
Q)◯◯◯APのプロジェクト以前から、いろいろな取組みが行われていたんですね。これまでの活動で思い出深かったものはありますか?
齊)信州・まつもと大歌舞伎で『四谷怪談』が上演された2016年に、それに合わせたイベントとして「松本城 三の丸 怪談めぐり」をやったんです。夜に、あまり知られていない松本城の怪談スポットを巡りながら、史実を学んだりできるようにというイベントだったんですが、これがなかなか傑作で……(笑)。
上)演劇をやっている人たちに声をかけ、甲冑を着て立っていてもらったり、城では姫の衣装のダンサーに暗闇で怪しげな舞を舞ってもらったり。そういう要素がすべて、かつて起きた史実をもとにしているから、妙にリアルで怖い(笑)。町がアミューズメントパーク状態になりましたね。
齊)町が固有にもっている歴史や町並みを活かしてエンタメができるって、なかなかでしょ。松本以外ではできないことであり、これは良かったと思う。こういう取組みはまたやりたいですね。
歴史や町そのものという唯一無二の要素を使えば、エリア全体が大きなプレイグランドになりそう……。とっても素敵だし、今後の活動のヒントになりそうですね。松本のどまんなかを拠点に活動されるTHE SANNOMARU TERRACE プロジェクト、観光客だけでなく地元の期待感も大きいので、未来を見据えた取組みの幅、ぜひ広げていってください。
社会実験写真/古厩 志帆 人物写真/文責:◯◯◯ap Magazine編集部