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「エッセイ」愛の限界

一度でも結婚生活や同棲生活を送った事がある人なら、きっと理解してもらえると思う。
どんなに愛していても、違う環境に育った者同士が同じ屋根の下で暮らしていると我慢出来ない、許せない事が一つや二つは必ずある事を……
私もその例外ではなかった。

あの頃、私は洗面所にある違和感を感じていた。
その疑惑は膨らみ、あの日確信に変わった。

あぁ、またあの歌が洗面所から聞こえる…
夫が創作したとしか思えない変な歌…
私にとっては呪いのように聞こえるあの歌だ。
夫はさも嬉しそうに抑揚を付け、コブシを回し、だんだん絶好調に達し、声のトーンが大きくなっていく。

今日こそ今日こそ、あの「違和感」の犯人を突き止める。私はそ~っとそ~っと忍び足で洗面所に近付き、コソっと覗き見をした。

「あっ!!やっぱり!!」

大きな声に驚いて夫が振り返る。
その手には私が大事にしているお気に入りの「毛抜き」が握られていた。
「この間からおかしいと思ってたんだよね~!やっぱりダーちゃんだった!!」
私の視線を感じ取った夫が言う。
「あ、この毛抜き!?」
「何で勝手に使ってるのよ~~」
「だって、これ調子いいんだもん♪」
「そりゃ、そうよ!私が独身の頃から愛用してるドイツ製の高い毛抜きなんだから〜」
「あぁ、だからか〜」
「だから、何よ!」
「鼻毛抜くのに調子いいなと思ってさ(笑)もう、これじゃなきゃダメ、他のじゃダメなんだよね~(笑)」

笑い事ではない。それは私の眉毛を整えたり脇毛やあんなトコやこんなコトに使う大切な毛抜きなんだから〜〜。
どうも最近、置いた位置が変わっていたり、妙な短い黒々とした毛が付いていると思った……
「固いこと言わないの、sannちゃん」
夫はまた、私の大切な毛抜きを自分のおっ広げた鼻の穴に……
ホールインワン!
あぁ、終わった、私のドイツ製

「鼻毛がのび〜〜る♪ドンドンのび〜〜る♪
切っても剃ってもズンズンのび〜〜る♪」(ダーちゃん歌詞が違ってたぞい)

悲しい時、落ち込んでいる時、是非一度聴いてみて下さい。私もこの歌が本当に存在する事を今日初めて知った(爆笑)
因みに物持ちのいい私は、未だにこの毛抜きを使っている。(もちろん洗いましたから〜 笑)


※TSN様の素敵なお写真をお借りしました。
ありがとうございましたm(__)m

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