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算命学余話 #G16 「天極星を基礎から考える」/バックナンバー

 前科三犯の懲役太郎の話によると、ヤクザの刺青の起源は、昔、江戸時代の罪人が島流しになった時に罪人の印として刺青を入れられたのを、その周りに大々的な彫り物を施すことで見えなくすることに始まるといいます。要するに偽装です。つまり肩や背中に絵画のような刺青をびっしり彫り込むことは、元々はヤクザの証ではなくてファッションだったということです。とはいえこのファッションはある職業の人間に限定されており、両肩に施すか片方の肩だけにするかで職業が判るようになっていました。当時のヤクザは片方の肩に施したと懲役太郎は語っています。(尤も、地域によって法則は異なるようです。)
 その後江戸時代の身分や職業がなくなると、カタギがファッションとして刺青を入れる習慣もなくなりました。今日まで残ったのはヤクザの刺青だけです。それも片側だけという規制もなくなって、晴れて両肩解禁です。お蔭で、胸から背中に至るびっしりの刺青といえばヤクザの証だ、という概念が今日では定着しています。もしかしたら、百年後にはまた別の概念で捉えられている可能性もあります。

 物事は、何事にも起源があり、そこには理由があります。しかし時代によって意味合いが変わっていくため、当初の理由とはかけ離れた概念がその時代に普及・認識されることもしばしばです。起源を知り、今日に至る道筋を知ることは、歴史を知ることであり、意味を知ることです。起源やその後の道筋を考慮しないで生きることは、歴史がなく、物事に意味を見出さない生き方です。動物的で浅薄な生き方と言っていいでしょう。
 『算命学余話』が星々について「基礎から考える」シリーズを掲げているのは、星の意味合いの成立に起源や道筋があるからであり、これを先に理解した方が星々の読み込みが容易になると考えるからです。
 今回の余話は「基礎から考える」シリーズの、天極星です。冒頭に懲役太郎の話を持ってきたのは偶然ではありません。天極星は人間の人生の道のりとしての「死」から派生した星ですが、その特徴の一つが「罪悪感を感じない」ことです。このため、正しい躾を受けずに育った天極星は犯罪者になりやすいと、算命学では考えています。ではなぜ天極星は罪悪感を感じないのか。他の星とどう違うのか。そしてどういう躾をすれば犯罪に関わらずに生きていけるのか。今までになく切実な問題を掲げながら、「死人の星」天極星を考えてみます。天極星は勿論、霊星であります。つまり霊感に関わるということです。

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