
ニガテの正体。
白いご飯にお味噌汁、焼き魚に葉のもの。
「日本の朝ごはん」いや「日本のご飯」に味噌汁は、欠かせない。
というのは、どんなテレビ番組を見てもどんな雑誌を見ても分かりきっていた。
それでもわたしはずっと、味噌汁が苦手だった。
別に、食べられないわけじゃない。というか、あまりにも「定番」なみそ汁を「苦手」と言う勇気がなかっただけだ。だって、嫌いな人とかいなさそうじゃん。
だから、給食や外食で出てきたみそ汁を減らしたことも残したこともない。
でも、家に帰ると夜ご飯のお味噌汁をそっと残すわたしがいた。
「味噌汁が嫌いなんて」とつぶやきながら、祖母はいつの日からかわたしの夜ご飯に味噌汁を出さなくなっていった。
味噌汁の何が苦手って、味じゃない。あの、味噌汁の最後に残るこうじ。あれが、苦手で。
そういえば、油揚げもがんもどきも木綿豆腐も納豆も苦手だから、多分大豆の加工品が全般的に苦手なんだろう。
この前も、たまごスープだと思ったらがんもがゴロゴロ入っていて。てっきりたまごの白身だと思ってパクリと食べたらモソモソ。ものっすごい苦い顔をしていたらしく
「あれ。嫌いだった?」
って言われてしまった。人に作ってもらったときには極力嫌な顔はしないように努めているんだけれど、あの不意打ちはダメだった。ごめんね。
とにかく、それくらい大豆製品が全般的に苦手だ。
ここ3年くらいでやっと納豆を克服したわたしが今挑戦中なのが、お味噌汁。
そんな今朝。
お腹を空かせていつもよりちょっと早く目を覚ましたわたしは、「今こそその時なのでは」といそいそとミルクパンを棚から出して、出汁を入れた水を沸騰させた。火を止めて、味噌を溶いて絹豆腐と長ネギを入れる。
出汁と味噌の交わったいい香りが、台所を包む。
これは、いけるかもしれない。
味噌は、おたまの中で念入りに溶かしたし。
いざ、朝ごはん。
昨夜の残りのご飯で作ったおにぎりに、目玉焼き、そしてお味噌汁。
朝一番のお味噌汁がグッと身体中をつたっていく。
あー、元気が出るなぁ。
そりゃ、食卓の定番になるよな。
お味噌汁。
豆腐も絹どうふにしたから、舌触りも気にならずスルスルと食べていける。
うん、おいしい。
……。
気付いたら、完食してしまっていた。
お椀の中に残っているこうじは、ほんのわずか。
あれ?
お味噌汁って、こんなにもおいしかったっけ。
あれ?
お味噌汁って、こんなにもさらっと食べられちゃうものだったっけ?
拍子抜けしてしまった今日の朝ごはん。
よくよく考えてみたら、我が家もおばあちゃんのお家も使っていた味噌のパッケージに「こうじみそ」って書いてあったような気がしてきた。
なるほど。
やっぱり、わたしが苦手なのは味じゃなくて食感の方なのか。
なんてことをぼんやりと考えていた朝。
明日も、朝ごはんにお味噌汁食べよっかなぁ。
いいなと思ったら応援しよう!
