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音の世界と音のない世界の狭間と手に入れたコンタクト。
年末に、コンタクトが割れてしまった。
きこえにくい分、視覚で情報を得ているわたしにとって、これは一大事。結局、度数やレンズの直径が特殊なため、新しいコンタクトレンズがわたしの手元にやってきたのは一月も一週目を終えようとする頃だった。
新しいコンタクトレンズが届いてからこの二週間。
まず、人通りの多い場所ですれ違う人やモノと衝突することがなくなった。多分、遠近の感覚が掴めるようになったから。キコエル人たちは音も使って遠近感を把握しているというけれども、そのあたりわたしは片耳が全くきこえないので視覚しか頼れない。だから、全てを見て判断している。
それから、電車の車窓を眺めるのが楽しくなった。眼鏡だと目の前にあるものはなんとかはっきり見えても、遠くにあるものはボヤけてしまう。だから、電車に乗りながら川に佇む白鷺を見つけたりお餅つきをしている人たちを見つけたり。そういう、周りの生活の息が感じられるようになった。別に知らなくて良いことかもしれないけれど、わたしの心がときめくものをひとつでも捉えられるというのは幸せだと思う。
もちろん、駅の案内表示も読みやすいので、掲示板に近づいていく必要もなくなった。おかげで、自分の出たい出口を探すためにホームをうろうろする時間は減ったような気がする。まぁこれは、方向音痴的な問題もあるので単純に目だけの問題ではないんだろうけれども。
あと、みることへの負担感が減った。眼鏡だとどうしても一日の途中で疲れてしまうことがあったんだけれども、コンタクトだと見えやすいしレンズがずり落ちてくる心配もいらないので、疲労感が大幅に減った。
確かに、眼鏡だけでもなんとか生きていくことはできた。けれども、周りの環境や人々の様子、生活……そんなもののすべてを視覚で捉えるわたしにとって、より快適な見えやすさというのはとてもとても大切なものだったことが、よおく分かった今回の騒動。
レーシックとかICLとか、未だにちょっとよく分かっていないのだけれども、心地よい視覚環境を整えるために、今年は動き出すぞ。
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