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同じ月を見ている。
ねぇ、窓の外、みて!
帰り道、ふと空を眺めたわたしは
いてもたってもいられなくなって、思わずそうメッセージを送った。
状況が数時間単位で変化していく今週。「やる」と言われたらそのための最善の仕事をするし、「やらない」と言われたらそれに対応する仕事をする日々。
今日もそんな右往左往を繰り返した1日だった。トップが今できる最大限の対応をしようとしているのが、ヒシヒシと伝わってくる。それでも「やるせない」と表現せざるを得ないことも当然ある。
こんな日々は、ゆっくりと、ジワジワとわたしたちの元にやってきた。何もかもが「突然」の判断だけれど、そのどれに対しても「やっぱりな」と思ってしまうわたしがいる。
週末も家に仕事を持ち帰りつつ
「これは、結局日の目を見ずに終わってしまうのではないか」
とどこかでそう思いながら、作業をしていた。
ふと、窓の外を見ると藍色の空の上にポツンと、あともうちょっとで満月になる十三夜月。
「わぁ。あとちょっとで満月だね」
そう呟くと、夜ご飯を作ってくれていた彼が横に腰をおろす。
「そうだね」
なんて言ったのだろうか。彼の口元をはっきり見ていなかったからなんと言ったのかは分からないけれど、でも、同じ月を見ながらゆっくりと、穏やかに週末を終えた。
あれから2日。
やっぱり、わたしたちの世界は大きく変化し続けている。三歩進んで二歩戻る。まさにそんな状態で。
「しょうがない」
そう自分に言い聞かせながら歩く帰り道。ふと空を見上げると、大きな大きな満月がポツンと佇んでいた。
月がきれい
ただそれだけなのに、なんだか元気が湧いてくる。ちゃんとした根拠はなにもないのに、明日はちゃんとやってくる、そう思えるだけの希望が見えた気がして。
ねぇ、窓の外、みて!
そうメッセージを送ると
まるいねぇ。
まいにち満月だといいねぇ
と。そんなにせかせかしてメッセージを送らなくても、あともうちょっとでお家に着くのにね。
空にポツンと浮かぶ、いつもより少し大きな満月。場所は違えど、同じ月を見ている、それだけでなんだか急に時間の流れがゆったりしたような感覚がやってきた。
このご時世だからこそ、まいにちきれいなのもいいけど、今日はどうだろう今日はどうだろうとお月様のご機嫌を伺うことを楽しめる心の余裕を持ち続けられますように。
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