
voice of Kimono
気持ち良い日差しで目が覚めると、身体中が汗ばんでいた。そりゃもう、6月だもん。365日休日だって制服を着ていたあの頃も、6月にはいったら本格的に夏服で。タータンチェックのジャンパースカートから、緑地のワンピースに変わった日は教室中が爽やかな空気になったことを思い出す。
これはもう完全に衣替えをしないといけない、と思い腰を上げる。とは言っても、ご近所のクリーニング屋さんが5月中はアウターの6月は羽毛布団のクリーニングセールをしているので、そのタイミングでちょこっとずつ整理はしていたのだけれども。
今回は、押入れの中からお着物も出してきて陰干しも。そういえば前回お着物を着た日は、着物姿のまま好きな人のお家に行って。そのちょっと前から喧嘩をしていたこともあってか、着物姿を見せたらここ最近一番ってくらい「かわいいね」を連呼されて。それがわたしのご機嫌を取るためだとは分かっていつつも、許してしまったんだった。ちょろすぎる。
他にも、お茶の先生からいただいたもの、亡くなった祖母のタンスから出てきたもの、今入院している祖母が帰省のタイミングに用意しておいてくれていたもの……。どのお着物も、わたしの手に渡るずっと前からのストーリーがたくさん詰まっていて。それらを手にするたびに、記憶が呼び起こされたり、手渡された日に教えてもらったエピソードが思い出されたり……。
着る手間や洗う手間等々を考えると、ハレの日を重ねがちなお着物たち。必然的に、そうやって印象的なエピソードが残っているものが多い気がする。
一枚一枚のお着物を畳み直してはそのエピソードたちを思い出して、着るであろう季節ごとに並び替えてまた押入れの奥へ。実は、まだ着たことのないお着物の方が圧倒的にたくさんあって。わたしの物語が重ねられているのはまだほんの一部だけ。
この子たちと共にストーリーを重ねられる日を楽しみに、そのときベストなコンディションで着られるように大切にしていこうっと。
いいなと思ったら応援しよう!
