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ロス
先月から大ハマりして、時間を合わせては一気見に一気見を重ねていたアニメをついに見終えた。その名も『サマータイムレンダ』全25話。
タイムリープもののSFアニメで、なんとNetflixでは日本語字幕付き。ネタバレすると、主人公の慎平は、10回のタイムリープとパラレルワールドを生きた。(これくらいのネタバレなら、良いよね?笑)
テレビ放映は2クールに分けられていたらしいのだけれども、我が家は25話を1ヶ月で見終えたわけで。10回もタイムリープされると、途中で「え。これ何周目だっけ?」くらいには中だるみしたし「このエピソード省いたらもう少し展開がスマートだったんじゃない?」みたいなところも、正直あった。
もう、本当のところを言うと、13話〜18話くらいまでは「見始めてしまった意地」くらいの気持ちでiPhone片手に眺めていた日もあった。一緒に見る人がいなかったら、絶対に途中で挫折していたと思う。
けど、どうにかこうにか意地で全話見終えたのが、夜の22時。見終えると、あの中弛みしていたような中間部にもちゃんと意味を感じられたし、最後まで見てよかったと思えてしまうもんだから不思議だ。多分、それもどこか意地。
だから「おもしろかったーーー!」というよりは「やっと完走したーーー!」みたいなそんな気持ちに包まれながら、それをどう表現したら良いか分からない。気付いたらわたしたちはなぜか台所にいて、一人はせっせと夜ご飯に使った食器や鍋を洗い、わたしはせっせとコンロの魚焼きグリルを磨いていた。
なんていうんだろう。村上春樹の「1Q84」くらいの長編小説を読み終えたような、そんな気持ち。どこか酸欠の、興奮もあるけれどもやり切ったようなそんな。
ねぇ、これがいわゆる「ロス」ってやつなんじゃないかなぁ
グリルを磨く手を止めてふと呟くと
あぁ、ロスっていうのはいい言葉だねぇ
ともう一人も呟いて、なんだかふふふと笑い合う。
キッチンはピカピカになって、わたしたちはロスを覚えて、夜更けを迎えた。
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