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憧れの暮らしへの背中をポンっと押してくれたプレゼント。
お誕生日おめでとう
そう言った母が紙袋から出してわたしの差し出したそれは、ピンクのかわいらしい花束だった。
誕生日はまだ先なのだけれども、当日はお互い用事があるから前祝いをしてもらうことになった今日。お気に入りのワンピースの裾をはためかせながら、新宿に向かった。
誕生日は、家族で祝いなさい。
それは、4年前に亡くなった祖母の半ば遺言のようなひと言で。その遺言を守らねばならないという使命感なのか、いや、ただ会いたいだけなのか。こうしてわたしは誕生日を母に祝ってもらっている。
生まれた日を振り返る、なんてことをするわけでもなくお互いの近況を報告し合いながら(と言ってもここ最近は月3くらいで会っているのだけれども)、美味しいご飯を食べる。
シャンパンが注がれた次の瞬間、母がわたしの目の前に差し出してきたのはピンク色の花束だった。
誕生日に花束をもらったのは、記憶にある限りこれが初めてだと思う。この花束があんまりにもかわいくて、誕生日に花束をもらったということがとにかく嬉しくて、花束を持ったわたしの顔が綻んだ。
ここのお花屋さん、お気に入りなの。でも、sanmariがこんなにも喜んでくれるとは思わなかったから。嬉しい。
そう言った母の顔もまた綻んでいた。
お花のある暮らしをしたい
周りの影響で、ここ最近そんなことをなんとなく思っていた。よく行くスーパーの入り口と毎日通る駅の改札にある花屋さんを眺めなつつも、枯らしてしまうんじゃないかとか、復職してからそもそも家にいる時間が少ないじゃないかなんて思い始めると、そのまま花屋さんを素通りしてしまう日々を送っていた。
だからこそ、この花束はとても嬉しくて。
毎日お世話をしよう。そして、これを機にお花のある生活を始めるんだ。
一緒に住んでいるわけでもないし、お花に興味があるなんて話題を母としたことは一度もない。それなのに誕生日プレゼントに花束を選んでくれる母は、やっぱりわたしの一番の理解者で。
そんな母との時間を、これからも大事にしていこう。そう思ったお誕生日プレゼント。
誕生日当日には、ちゃんと連絡するんだ。
産んでくれてありがとう。いつもいつも、一番の理解者でいてくれてありがとう
って。
今日もお疲れ様でした。
おやすみなさい☺︎
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