「それでもやっぱり」お味噌汁がわたしを満たしてくれるはずだから。
せっかく久しぶりに二人揃ったんだから、共通の知人にテレビ電話をかけてしまおうとパソコンを開いたらなんだか楽しくなってしまって。そのままYoutubeを眺めて……と、気付いたら終電の時間。といっても、今ここを出れば、絶対に終電には間に合うくらいのちょうどよい時間。
「さぁて」と腰を上げて隣の人を見たら、もうすでに夢うつつで。黙って帰るのもなんだか悪いし
「そろそろ帰ろうと思うんだけど……」
と声を掛けると
「お家に帰ったよの連絡を待ち切れなさそうだから、泊まっていきなよ」
と甘い誘いをいただいてしまって、そのままシャワーを浴びて朝を迎えてしまった。翌日に予定がない日の夜の気の弱さよ。
それでも、終電で帰れる距離なのに「泊まっていってほしい」と言ってくれる人が隣にいるっていうのは、なんだかこそばゆくて。わたしの帰宅連絡をヤキモキしながら待っていようとしてくれる人がいるということが、ありがたくて。
こと入眠が苦手なわたしは、いつもの布団じゃないし、いつものパジャマでもないので、うとうとしては目を覚ましてを繰り返した夜だったけれども。それでも朝起きて「おはよう」と言いたい人が隣にいるというのは幸せだなぁと、そんなことを思いながらレトルトのお味噌汁を啜った朝。
朝から出汁を取って味噌汁を作るのには寝不足。それでも、朝を迎えればお腹は空くし、冷房でちょっと冷えた身体に、お味噌汁はじんわり染みる。お味噌と具を出してお湯をかけるだけで、こんなにも心が穏やかになれるなんて本当にお味噌汁って偉大だなぁと思う。
あまりにも感心してしまったので、帰り道にレトルトのお味噌汁を3種類も購入してしまった。蟹が入っているものと、納豆が入っているものと、お茄子が入っているもの。どれもわたしのお家の近くのスーパーでは見たことのないものだったし、朝のお味噌汁が本当に美味しかったから、つい。
ひとりのお家に帰って、ひとりで食べたら、おいしさは半減してしまうのだろうか。それとも、「それでもやっぱり」お味噌汁はわたしを満たしてくれるのだろうか。
ぐるぐる考えながら、とりあえず台所の引き出しに、いま、3種類のレトルトのお味噌汁が入っている。眺めるだけでもわくわくしてしまうので、購入したことはまず正解だったんだろうな。ふふふ。
さぁて、明日はどれを食べようかしら。