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金曜日は、反対方向の地下鉄に乗ってしまいがち。
昔から電車の路線図を見ることが好きで、手帳を新調するときには、必ず路線図が載っているものを選んでいた。そんなわたしは、小・中と徒歩圏内の学校に通い、高・大とバスで学校に通い、大学院は敷地内の寮に住んでいた。
だからあの「もし表参道から吉祥寺に移動するとしたら、渋谷から井の頭線に乗ろうか、それともJRで新宿に出てしまおうか」みたいな妄想が現実で役に立つようになったのは、社会人になってからのことだ。
あまりにも憧れていた電車通勤だったから、満員電車もそんなに苦にはならない。がしかし、電車は好きだけれど、景色が見えない地下鉄はそんなに好きじゃないことが分かった。
明るい時間に退勤しても、地下鉄に乗って最寄駅の出口を出ると真っ暗……なんてことが起こった日には、だいぶテンションがさがる。車窓から景色を眺めながら、ゆっくりと陽が落ちていったり日が登っていくのを眺めるのは、嫌いじゃない。
でもなによりも、わたしはとにかく電車を乗り間違える。
特に金曜日の地下鉄なんていうダブルパンチには、すこぶる弱い。この前も、新宿から東京の東側に帰るはずだったのに、電車に乗ってふと顔を上げたら幡ヶ谷にいた。
なぜ、ここは曙橋じゃないんだろう。
車内放送がきこえなかったから、新宿を出るときも初台を出る時も気付かなかったんだ!
なんて言い訳したくなるけど、よくよく考えたら新宿で階段を降りて、何も考えずに左の電車に乗り込んだのは、わたしだ。行き先表示を見たかと問われると、自信を持って「見た」とは言えない。
これは、「きこえにくい」を言い訳にしてはいけない。わたしのおっちょこちょいだ。
ちなみに、三田線で巣鴨から白金高輪方面に移動するはずが、顔を上げたら板橋本町にいたこともあるし、大江戸線で東京を横断したこともある。
路線図を見るのは相変わらず好きなんだけれど、ホームに降りて右の電車に乗るか左の電車に乗るかみたいな判断をするのは、すこぶる苦手だ。
そういえば、大学時代はバス通学だったと言ったけど。大学生活の4年目は大学の近くまで行くバス路線が廃線になって最後の半年だけ地下鉄で通学していた。
でも、わたしの地元仙台市が誇る仙台市営地下鉄南北線は、同じ島式ホームでも、北方面に行く乗り場には青色の、南方面に行く乗り場には赤色のラインが引いてある。
右が左か、京王多摩センターか本八幡か、みたいな判断を瞬時にすることは苦手だけれど、青か赤かの判断くらいはできるから、地元で同じような間違いをしたことがほとんどない。
それから、前住んでいた家のあたりも西行きと東行きでホーム自体が別だったから、そのときも間違えたことはない。
でも、島式ホームの地下鉄はダメだ。特に疲労困憊している金曜日はやらかしがちだ。
ただでさえ疲れているのに、その上逆方面に乗ってしまうんだから、帰宅にかかる時間が倍くらいになる。だから、本当に絶望する。
東京の地下鉄も、上りと下りで乗り場の色が違かったらもう少しこの間違いも減るのかもしれない。ただ、東京メトロ9路線と都営地下鉄4路線もあるんだから、13路線に対して26色もカラーを用意したところで、たぶんそれも認識できない。
仙台の地下鉄は、2路線しかないからカラー分けなんていう便利なことができたんだ。
ふうう。結構な頻度で乗り間違えるから、最近は「路線図を見ることが好き」なんてことも口を大きくして言えなくなってきてしまった。ちょっと、さびしい。
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