「ふたつにひとつ」に自信がもてない日々。

分岐という分岐の全てを逆に曲がる典型的な方向音痴なわたし。実は、家の中の電気のスイッチもたいてい思っているものと逆の方を押してしまう。何年住んでも、慣れない。

洗面所には３つのスイッチがあって、一番上はお風呂場、真ん中は洗面所、一番下はトイレのスイッチになっている。やっぱ、逆かもしれない。もう、このnoteを書いている時点で曖昧なのだから、実生活では常に一番上と一番下を両方パチパチとさせている。

厄介なのは、夜のお風呂どき。わたしは浴槽に入る前に洗髪を済ませてしまうのだけれども、もう一人は最初に身体を洗ってしまって、あがる直前に洗髪をする。これは、お湯が冷めてしまうのを防ぐのと、口の形はいつでも見られる方が安心だから。髪の毛を洗ってるときって口をはっきり動かせないでしょう。お風呂の時間はなんとなく語りたい気分になるのですよ。

でも、この人は最初のシャワーで歯磨きまでするんです。全部待っていたら、のぼせてしまう。

ちょっと話は逸れるんだけれども。

むかし、はじめて一緒にお泊まりしたとき。入浴中に浴槽内で歯を磨きはじめたのを見たときは、すっごくびっくりした。銭湯とかにいくと洗い場で歯を磨いている人を一定数見かけるからそれもアリなんだろううし、最初は、郷に入れば郷従うべきなのかとそれに倣っていたこともあった。けどやっぱり、わたしはあがってからドライヤーの前に台所や洗面台で歯磨きをする方がしっくりくるので、そうしている。

というわけで、たいていわたしは先にお風呂場から出て歯を磨いたあとに髪の毛を乾かす。スーパーロングに憧れて久しいわたしの髪の毛は、胸近くまで伸びていて（肩を超えてからが長いのね）あと、見た目以上に量が多い。だもんだから、Panasonicのまぁまぁなドライヤー（ナノケアではない）を使っても15分はかかる。

だから、ひと足先にお風呂から上がって軽くスキンケアをしてドライヤーをかけにトイレへ。この家は、なぜか独立洗面台がなくて、代わりにトイレに電源と手洗いと鏡がついているので。

で、さあ電気をつけようというタイミングで迷うわけ。上のスイッチと下のスイッチ、どちらを押すかということを。ちなみに、悩むとたいてい外す。

外すというのはすなわち、気持ちよくシャワーを浴びている人の世界を真っ暗にすることで。数度失敗して、そのたびにとてつもなく申し訳ない気持ちになっているので、最近はお風呂に入る前に両方電気をつけてしまうか、洗面所その他の明かりを頼ってもう一人がシャワーを終えるまではトイレの電気をつけずにドライヤーをかけている。

涙ぐましい対処法だ。でも、わたしはわたしの選択を、からっきし信じていない。

そういえば最近気付いたんだけど、お風呂を終えた人もお風呂場の電気を消さずに部屋に戻る。ひとりでシャワーを浴びた日はちゃんと電気を消しているので、きっとこの人も２つにひとつの選択肢に自信がない人なんだろうなと思っては、ニヤニヤしながら今日もドライヤーが終わったら両方の電気をパチリと消すのです。

あんぱいあんぱい。