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メロンと写真と秘密の女子会。
ひいおばあちゃんには兄弟が5人いて、そのうち北海道に住むおじさんが夏には夕張メロンを冬には毛蟹を送ってきてくれていた。それらの小包は、ひいおばあちゃんかおばあちゃんが受け取ってこっそり冷蔵庫の奥に。
そして、その日がやってくるとわたしたちは簡単な夜ご飯を済ませておじいちゃんが寝ると、またダイニングに集って3人だけの女子会をしていた。夏にはメロン一玉を、冬には毛蟹一杯を、3人でぺろっと。
はじまりは、大学一年生の夏。
初めて実家を出て、おばあちゃんのお家に住むようになって。とても楽しく暮らしていたのだけれども、突然寂しくなって実家に帰った週末があった。2日間、お母さんのご飯を食べて妹たちとも楽しく遊んでおばあちゃんのおうちに帰って。でもまた、ちょっぴり寂しくしていたその日の夜「これは、わたしたちだけの秘密なの。さんまりちゃんも、今年から仲間よ。」と半玉のオレンジ色にピカピカ光ったメロンが出された。
戦争でひいおじいちゃんを亡くしてから、いつも一緒にいたおばあちゃんとひいおばあちゃん。「結婚するときも、姑と一緒に暮らしてくれるというからおじいちゃんと結婚したの」という二人で一つの親子。その2人の秘密の夜会に招待してもらえたことは、この家の住人として正式に認めてもらえたようなそんな出来事だった。
ひいおばあちゃんの弟さんが毎年送ってくれているメロンと蟹を、ふたりで食べるのが小さな贅沢なのだと教えてもらって。それから3年半、わたしたちは夏と冬にそれぞれ秘密の女子会を楽しんだ。
聞いたところによると、その昔はひいおばあちゃんとおばあちゃんとわたしの母の女子会も存在したそうで。(その頃は、みんなで夜中にお菓子を作っていたらしい)おじちゃんとおじいちゃんは、多分きっとその存在を知らない。我が家は、なぜかとても女系の絆が強いのだ。
4年目は、おばあちゃんの身体に癌が見つかって治療中の日々で。夏はお家に帰ってこられたタイミングで開催できたのだけれども、冬はおじさんが仙台に直接やってきた。おばあちゃんのお葬式の日だった。
それから半年もしないうちにひいおばあちゃんも亡くなってしまって、わたしも関西の大学院に進学して、あの楽しい夜は思い出になってしまった。贅沢で、美味しくて、楽しい楽しい夜だった。
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もう数年も前のことですっかり忘れてしまっていたのだけれども、久しぶりに大きなメロンをいただいてパシャリと写真に撮ってその画面を見ていたら、ふとあの夜たちを思い出した。
そういえば、わたしの一台目のコンデジは写真が好きなひいおばあちゃんに買ってもらったものだった。あのコンデジも、ひいおばあちゃんの愛機もFUJIFILMだったので、今わたしがFUJIFILMのカメラを愛しているのもきっと本能的なものなのかもしれないなと笑ってしまう。
思い出させてくれてありがとね。今も2人は、お空の上でもう3分の2のメロンを食べているのかしら。
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