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sanmariのひとりごと

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なんでもない日常の、でも、だれかにとって、ちょっと、特別なことたち。
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2023年1月の記事一覧

パピコがなかった夜。

春夏秋冬、外食した夜はアイスを食べたい。 とっておきの日は、ハーゲンダッツを。いつもの夜は、雪見だいふくかパピコを。半分こする人が隣にいる夜は、雪見だいふくもパピコもとっておきのアイスに昇格する。 だから、帰りの電車に揺られながら「ねぇねぇ。今日のアイスは、パピコにしようね。」と呟くと(またいつもの調子で)と鼻で笑われながらも「それなら、帰り道のコンビニに寄ろうね。」と約束を取り付けて、駅からコンビニまでスキップまでしたというのに。 一目散にコンビニの奥へと進んだわたし

しんと雪が降る夜に。

さむいさむい、冬の夜。それでも「華金だしね」と理由をつければ、いつだってどこにだって駆けつけたい。 雪の降る街も、誰かと一緒に眺めるとそれはもう特別な一瞬で。真っ暗な空から白い雪がハラハラと落ちてくるそれを眺めながら、思わず目を見合わせて「綺麗だね」と呟くと「綺麗だね」と立ち止まってしまう。 そんな、しんとした週末の夜が、たまらなく愛おしい。 今晩は、寒波で電車が止まってしまうかもしれない。いや、それでも、まだ夜は始まったばかりなのに……と、いじけたくなるような食後にポ

そう遠くない未来に、当たり前になって欲しいサービスを見つけたので。

あくびをする、おならをする、お腹がなる…… 生活をしていく中で、避けては通れない生理現象というものはどれも「しょうがない」で済まされると言うのに。こと「生理」については、どこか隠したくなるようなそんな気がする。 小学校高学年でやってきてから、不規則ながらもだいたい月に一回それは必ずやってきて。あくびやおならには名前がついているのに、生理はそのまま生理。 なんだか避けたいときには「女の子」とか「お腹が痛くなるやつ」と言ってしまうけれども、要するにそれは生理だ。 用を足し

音の世界と音のない世界の狭間と手に入れたコンタクト。

年末に、コンタクトが割れてしまった。 きこえにくい分、視覚で情報を得ているわたしにとって、これは一大事。結局、度数やレンズの直径が特殊なため、新しいコンタクトレンズがわたしの手元にやってきたのは一月も一週目を終えようとする頃だった。 新しいコンタクトレンズが届いてからこの二週間。 まず、人通りの多い場所ですれ違う人やモノと衝突することがなくなった。多分、遠近の感覚が掴めるようになったから。キコエル人たちは音も使って遠近感を把握しているというけれども、そのあたりわたしは片

蛇口の捻りが甘かったときのお水って、どんな音をしてこぼれているんだろう。

大なり小なり、人には「許容範囲」というものが存在するだろう。 例えば、湯船にお湯をはる頻度だったり、エアコンの設定温度だったり、寝具を洗うタイミングだったり。 先日、彼の家で朝方にトイレをしたら手洗い場の水が出なかった。しょうがないから台所で手を洗ってもう一度布団に入って、彼が起きてから「ねぇ。トイレの手洗い場、水が出ないんだけど」と伝えた。 すると「あぁ。昨夜、僕が強く締めたんだよね。さんまりちゃん、水出しっぱなしでお風呂に入っちゃったんだもん。だから、えいって!」と

今日も明日も、お風呂に浸かりたい。

一日の終わりには、できるだけ、湯船に浸かりたい。 あっついお湯を湯船にためて、身体をサッとひと流しして足先から、そおっとお風呂に入る。身体中がジーンとあったまって「くぅぅぅ」と気持ちよくなる。 今日もしあわせだなーと身体も心もホクホクしてくる。 2023年がやってくるほんの5分前も、わたしたちは狭い湯船で長風呂をしながらあれやこれやとここ数年間の頑張ったことたちを並べては「そしてこうやって、新しい年を一緒に迎えるのねぇ」と感情に浸っていた。 彼は在宅で延々と仕事をして

わたしのおちゃわんがあるトコロ。

我が家には、家族それぞれにお茶碗がある。わたしのお茶碗は、赤いお茶碗。小学生くらいからずっとそれを使っている。だから、台所の水切りカゴに赤いお茶碗を見つけると「あぁ、お家に帰ってきたんだな」と思う。 実家でこのお茶碗を使うのはわたししかいないはずなのに、帰省すると必ず戸棚ではなく水切りカゴに入っている。たぶん、そういうことにとてもマメなおじいちゃんが、わたしの帰省にあわせていつもそうやって用意してくれている。 おじいちゃんは、夕方のニュースが始まる頃には晩酌を始めて、ちょ

おはよう2023

いくつもの「よいお年を」を越えて、2023年がやってきた。 2022年の最後は、大掃除を終えて、長風呂をしながらここ数年のがんばったことたちを並べていたらすっかりゆでダコのようにふにゃふにゃになってしまって、ちょうどパジャマに着替えたタイミングで年を越してしまった。 「お外から花火の音が聞こえるよ」と教えてもらったので、パジャマの上にコートを羽織って家の前の坂を駆けのぼったら最後の一発の花火がちょうど落ちてくるところで。見晴らしの良い公園に着いた頃には、あたりはしんと静ま