マガジンのカバー画像

sanmariのひとりごと

277
なんでもない日常の、でも、だれかにとって、ちょっと、特別なことたち。
運営しているクリエイター

2020年2月の記事一覧

たかが踏み台、されど踏み台。

そういえば、あの踏み台はどこに行ったんだろう。 あれは確か、幼稚園の頃住んでいた家でのこと。なんでも自分でやりたい、そう思いつつ洗面台の蛇口まであと一歩手が届かなかったり、鏡に写る自分の顔が下半分にしか写らなかったり。それでも、だっこをされるのも両親にやってもらうのもなんだか釈。そんな頃。 ある日幼稚園から帰りると、あの踏み台が洗面所にポツンと置かれていた。 おそるおそる踏み台に乗ってみると、蛇口に手が届く。手洗いうがいを済ませて鏡を眺めると、自分の顔が切れることなく見

相手のことを思って、人が人を大切にするということは。

それは、お稽古終わりの挨拶のときだった。 卒業証書のかわりだと思って受け取って。 と、先生から白い箱が手渡された。 中身は、薄ら桃色の草履。 あまりにも突然の出来事に、固まってしまったわたしへ先生が続ける。 わたしの実家はね、草履屋なのよ。 だから、うちのを履いて欲しくてね。 顔をあげると、にこにこと笑みを浮かべた先生の顔があった。 *** 高校生以来のお茶を再開して約10ヶ月。秋頃に炉が出てからは、初釜に向けて着付けのお稽古もしていただいていた。 年末にはな

My here:花のある生活。

小学4年生になる年に、父の単身赴任が決まった。それまで住んでいた家は、父の会社の借り上げ住宅。そんなわたしたちが新たな住まいに選んだ家のベランダからは、ぽつんと佇む一軒の花屋が見えた。 花屋さんは、店長のばばを含めて3人で切り盛りしている小さなお店。 学校から帰ってくると 「おかえり」 と迎えてくれ、お出かけのときには 「いってらっしゃい」 と見送ってくれる。 いつの間にか家族ぐるみで仲良くなって、一緒にドライブにもいった。 母が花を愛する人だということも、この花屋さんと

わたしの好きは、まいにち更新をやめたらリカバリーできないようなヤワなもんじゃないんだよ。

夜中にふと目が覚めた。 何時だろう、そう思ってふとiPhoneに手を伸ばすとたくさんの通知が来ていた。 大丈夫? なにかあった? ……。 いや、何もない。お風呂に入って、iPhoneを眺めながら寝落ちしただけ。それなのに、なんでこんなにも心配の連絡が並んでいるんだろう。 あ。 noteを、noteを更新していないんだ。 162日間、24時間以内に更新することをウリにしていたnote。それを書かずにいたのだ。 iPhoneの画面を見ると 2月14日1時5

立春後、はじめての大安の今日は。

豆まきが終わり、立春が過ぎ。 東京の片隅では、ちらほらと梅の花が咲きはじめていた。そんな週末。 帰宅してカレンダーを眺めながら次の大安を探すと、なんと本日2月10日だった。 お雛様を出さねば 誕生日プレゼントにもらったお花がまだ咲いているから、とりあえずお花はOK。仕事終わりにスーパーでひなあられを購入し、家路に着く。 小さい頃、我が家には立派な三段飾りの雛人形があった。わたしが生まれたときに、父方の祖父母からいただいたものだ。 節分が終わって何日かして学校から帰る

休日を楽しめるわたしがちょこっと戻ってきてくれた。そんな週末。

昨日は、 #旅と写真と文章と のクルーのみなさんと #旅しゃぶアクアリウム フォトウォークへ。そして今日は、はじめましてのコミュニティEnglish Challenge のイベントに参加してきた。 「英語をガチガチ勉強する!」というよりは、英語を通して異文化を覗いていく楽しみを共有し合う人たちが集うコミュニティなのかな、なんていう印象を受けた。 わたし自身、母語は日本語だけれど手話という第二言語を得てから、いろんな意味で世界観が広がったなって思っていて。そして、単語をある

レベル26

2月8日。にやにやの日。 レベル25からレベル26へと、年を重ねた。 そんな今日は、レベル25後期毎日のようにお世話になった大切な大切なコミュニティ #旅と写真と文章と のフォトウォーク。 自分への誕生日プレゼントとして買ったFUJIFILM X-T30を連れてフォトウォークに行ってきた。 音の世界に足を踏み入れよう まいにちnoteを書いてみよう たくさんの人の前で「きこえないこと」について話をしてみよう そんなわたしのはじめの一歩を見守り、ときに後押ししてくれる大切

「わからない」を口にしても大丈夫なひとは、ちゃんとすぐそばにいるよ。だから安心して。ね。

金曜日。「今週は、この仕事を済ませちゃえば終わるね」なんて話しながらちょっと浮かれる昼下がり。 昨日ちょっぴり頑張って進めたから、ようやく終わりが見えてきたところ。でも、最後のひと作業が分からなくて、その書類は一時中断していた。そんなもどかしいけれどどこか平穏な時間。 sanmariちゃん、どの辺まで進んでる? と上司が声をかけてくれた。 ここまでは終わったんですけど。。。 と答えると もう、終わってるに近いじゃん!やったね☺︎ と笑顔で返ってくる。 あ、今がき

「病は気から」なんて言うけれど。

朝起きると、声が出なかった。 なんとなく喉が痛いと思ったのは、月曜の午後。風邪を引いた男の子のくしゃみが顔面に飛んできてから数時間後のことだった。これは確実にうつった。そう思いつつも、「喉が痛いだけ」と龍角散で乗り切ろうとひたすら龍角散を舐め続けた。 龍角散は、優秀だ。声が出ない時も3.4粒舐めればカスカスであろうととりあえず声は出るようになる。風邪のひきはじめと喉の痛みには、迷わず龍角散を舐めれば良いと、カバンの中に龍角散のど飴が常備してある。ちなみに、大学時代にあまり

焼うどんと鼻血とおばあちゃんと。

帰宅したら、おじいちゃんが炊飯器のご飯を全部食べてしまっていた。あんまりにもお腹が空いていたもんだから、これからごはんを炊く気にもならなくて、焼うどんを作ることにした。 ご飯がないことにちょっぴりイライラしながらも、トントンと包丁を動かして具材を切る。普段はなんとなく嫌煙しがちなキャベツや白菜もなんだか傷んできているように見えるし、一緒に混ぜちゃおう。 そう思って包丁を手にしてすぐに、自分の持っていた包丁で指を切った。 あーあ。「おじいちゃんが、ごはんを残しておいてくれ

オトナの階段を登りながら。

20代のうちにしておくべきこと。 それは、海外旅行で視野を広げることだったり、経済を回しながら自分の価値観やその方向性を知ることだったり、はたまた身を焦がすような恋だったりするのかもしれない。SNSや本屋さんの棚に並ぶタイトルの中には、たくさんの「20代のうちにしておくべき◯◯」が並んでいる。 あまりにもたくさんありすぎて、20代のうちにそれらを網羅することは不可能なような気もしていて。そんなある日、わたしの尊敬すべきお兄様お姉さまが集まる #旅と写真と文章と のslac

おにはそと、ふくはうち。ぱらっぱらっぱらっぱら、まめの音。おには、こっそり逃げていく。

おにはそと ふくはうち 今日は節分。お腹の中に住んでいる自分の鬼を退治して、歳の数と同じだけの豆を食べて、春の訪れを感じる。 お腹の中に住んでいる鬼。 わたしのお腹の中には、どんな鬼がいるだろう。先日、やいかがしを作ろうとイワシを焼きながら考えていた。 かたづけが苦手な鬼も退治したいし、面倒くさがり鬼も退治したい。 部屋が綺麗な方が、心も体もスッキリする。その綺麗な部屋を保つには、面倒くさい鬼を退治しないとすぐに汚くなってしまう。うーん。鬼二匹なんて退治できないしな

憧れの暮らしへの背中をポンっと押してくれたプレゼント。

お誕生日おめでとう そう言った母が紙袋から出してわたしの差し出したそれは、ピンクのかわいらしい花束だった。 誕生日はまだ先なのだけれども、当日はお互い用事があるから前祝いをしてもらうことになった今日。お気に入りのワンピースの裾をはためかせながら、新宿に向かった。 誕生日は、家族で祝いなさい。 それは、4年前に亡くなった祖母の半ば遺言のようなひと言で。その遺言を守らねばならないという使命感なのか、いや、ただ会いたいだけなのか。こうしてわたしは誕生日を母に祝ってもらってい

補聴器は、わたしの「カラダ」の一部になっていた。

わ、すごい音。 そう言ってびっくりする友人の横で、わたしは平然としていた。 すごい音だったよ。 そう言われても、なんのことだか分からない。そして、よくよく考えてみてふと思い浮かんだ。 あ、そういうことか。補聴器がおかしいのかも。 秋ぐらいから、なんだかきこえがおかしかった。聴力が下がったのかと思って職場で聴力検査をしてもらったけれど、特に異常はなし。というか、以前と聞こえ方は同じ。 気のせいかな。そう思いつつも、なんだか補聴器をつけると騒がしいような気がして補聴器