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sanmariのひとりごと

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なんでもない日常の、でも、だれかにとって、ちょっと、特別なことたち。
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2019年11月の記事一覧

聞き返せるのは、信頼している証拠。そんな関係を築いていくために、わたしにできることってなんなのだろう。

久しぶりに補聴器の電源を入れると、音がすごく篭っているように感じる。たぶん、どの音をきいたらいいのかわたしの頭が混乱しているからだと思う。しばらくして慣れてくると、話者が誰かさえわかればなんとなく「音」ではなく「声」に変わってくる。 今日からは、久しぶりに音の世界のお友達と旅に出てくる。ここ最近、すっかり補聴器を使う機会を失っていたから、ちゃんと声をききとれるか心配。 「わからなかったら、聞き直せばいいじゃない」なんていわれるけれど、みんなが楽しそうにしているタイミングで

人生会議を身近に。小藪さんの果たした役割はとってもかっこいいなぁ、と思いながらあの日々を振り返る。

「今日で世界が終わっても、これで後悔しないで終わらせられると思う」 ちょっと夜更かししちゃう夜。ちょっと奮発してお買い物をする瞬間。そんなときのわたしの言い訳。何度かの言葉に甘えてきただろう。でも、願わくば毎日布団に入る瞬間にこう思いたいものだ。 11月30日は、(いい看取り、看取られ)の日。今、ポスターで話題のACP「人生会議」の日だ。 このポスターに対して、がん患者の団体が厚生労働省に抗議をしたことからこの抗議への賛同の声が集まり、ポスター配布中止になった。がん患者団

得意とか好きとかではうまく表現できない愛おしさ。#mari_gohan で綴るわたしの日常。

料理は嫌いではない。むしろストレス発散になるなぁと思っているし、ご飯を自分で作れるときは大体心が元気なときなので、良いバロメーターになっていると思う。それでも、答えに困るのは 「得意料理はなに?」 という質問で。 前述したように、料理は嫌いじゃない。つまり、「好き」とか「得意」っていうカテゴリには当てはまらなくて。 「ハンバーグ」とか「ガレット」みたいなキラキラした料理だったり「スコーン」みたいなかわいいお菓子を期待されているような気がして、気後れしちゃう。 わたしが

「いい風呂の日が誕生日なんて、最後までふざけているよね」と笑えるようになったのは、つい最近のことで。

この世で一番好きな場所をひとつ答えなきゃいけないとしたら、迷わずに「湯船」と言うくらいお風呂が好きだ。でも、人生で半年と少し湯船に入れなくなったことがある。絶対に忘れられない、そのきっかけの晩の話。 朝、バイトに行く前にリビングに行ったらおばあちゃんがいなかった。まだ寝てるのかと思って枕元に行くと彼女がこう言った。 「今ね、夢を見てたの。あなたに買ってもらった杖を持って新幹線に乗って旅に行ったんだ」 おばあちゃんは旅が大好きで新幹線が大好きで。ちょうどこの一年くらい前に

大和撫子への道のり

夏の終わり頃。お茶のお稽古に行ったところ、先生から 「もうそろそろお正月だし、あなたもお時間があるようだし、お茶のお稽古の前に着付けのお稽古もしましょう」 と提案があった。 せっかく日本人として生まれたんだし、この機会に着付けも習得してみようと二つ返事でお稽古をお願いした。 ここ最近は、なんとなくコツや手順、次に必要な小道具が分かってきたところ。まだまだ帯は自分で結べないけれど、長襦袢を着て着物を着るところ辺りまでは、なんとなく分かってきた。 着物を着ると、背筋がシャ

「ウチの味」のもつ安心感たるや。

今朝起きたら、母からラインが来ていた。 「sanmariの好きな炊き込みご飯を炊いたから、お昼過ぎに遊びに行くね」 飛び起きて洗面所に行くと、髪の毛の右半分が立っていた。びしょびしょに濡らして、ドライヤーを勢いよくかける。 洗面台を磨いて、トイレを磨いて、洗濯機をまわす。シンクの中も綺麗にして、掃除機をかけたところでもう一通のラインが届く。 「電車に乗ったよ。あと、20分くらいで着くかな」 わお。パジャマのまんまだ。 急いでその辺にある服を着て、洗濯物をベランダに干して

「道草」は、まだまだ続く。

「道草」という名の休職が始まって、早3週間。ハイキングをしたり温泉に浸かったり、イベントに手話通訳をつけてもらったり旅しゃぶラジオ文字chに出演させてもらったり。周りに支えてもらいながら、道草を味わった。 自分でも嫌気が差すほど汚かった部屋もやっと掃除して、心も落ち着いてきた。そんな気がしていた。 でもね、「再来週には復帰だ」と、ここ最近早起きの練習を試みているんだけれども、やっぱり上手くいかない。早起きはできても、活動時間の限度が18時くらいまで。あとはもう、眠くて眠く

写真がわたしにくれるもの

この写真をみたとき、わたしはふわっと雪国に舞い込んでしまったのではないかと錯覚した。しんしんと雪が降る中、電車が去ってしまったホームに一人佇む。この瞬間を、この白い世界を、頭の中でトリミングしてカメラを構える。 カシャ シャッターを切った瞬間、もとのわたしの部屋に戻ってきた。 いや、正確には、わたしはこの場所に行ったことはない。でも、この写真をみた瞬間、わたしの意識はこの写真のシャッターを切った瞬間にワープした。そんな気がしたんだ。 我に返ったわたしは、思わずこの写真を

なにげない日常を、たまらなく愛おしくさせるきっかけ。

毎日を充実させることが より素敵な未来をつくる。 毎日を充実させる。そのためには、動き続けなければいけないと信じて疑っていなかった。そんな我が家に、ドライフラワーがやってきた。それだけで、急に景色が変わって見えている。 クリスマスまであと少し。 1ヶ月くらい、リースを飾ろうかな。 そんなささやかなきっかけだった。 でも、ドライフラワーがやってきたその日から、なんだか景色が違って見えるんだ。いつものわたしの部屋なのに。 なんとなく、おうちでボーッとしたいな。そう思うタイ

【4】理想の休日

今日のnoteは、オンラインコミュニティ #旅と写真と文章と の #旅しゃぶ交換日記 という企画から生まれました☺︎ 昨夜はるかさんから指名を受けて与えられたお題は、【理想の休日】について。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 目を覚ますと、横に君がいた。まだ外は薄暗い。ぐっすりと眠る君を起こさないように寝返りを打って、二度寝に入る。 次に目が覚めると、遮光カーテンの隙間から朝陽がのぞいている。君を起こさないように、手をひょいと伸ばして、ベッドのそばのカー

#旅と写真と文章と 交換日記が始まったよ。

日曜日の夜6時といえば、ちびまる子ちゃん。幼稚園の年長の頃だったろうか。まるちゃんとたまちゃんが「交換日記」をする回があった。 仲良しの友達と交換日記をする。 なんてステキなんだろう。目をキラキラさせながら見て、家にあったノートを一冊通園バックに忍ばせた。 翌日、一番仲の良かったさっちゃんに交換日記の提案をした。「いいね」さっちゃんはにこにこと賛成してくれた。早速その日のうちに1日目の日記(といっても、何を書いたのかは覚えていない。ひらがなだって満足に書けなかったわた

こころの「道草の味わいかた」を探しに、旅に出ようと思うんだ。

夕焼けがあんまりにも綺麗で、思わず追いかけた。空が真っ赤に染まるのは一瞬で、でも、その一瞬がずっと続いて欲しかったんだ。 すごくさびしいときって 太陽が沈むところが好きになるよね…… (サン・テグジュペリ『星の王子様』) 思えば、夕焼けに向かって走ったあの瞬間に、わたしの中の何かがプツンと切れたんだ。 どういうわけだか知らないけれど、ある日、それまで自然にできていたことが突然できなくなることがある。わたしの場合、朝起きて仕事に行くこと。理由を挙げ出したら、きっとキリがな

手で紡ぐ。それだけで、世界がまったく違って見えた。

全然大丈夫なんかじゃなかった。 わたしはやっぱり 音のない世界の住人だった。 聴き慣れている人の声だし、通訳なんていらないんじゃないか。全部じゃなくても手話もつけてくれているし。そう思っていた。 そんなある日、職場の研修で手話通訳をつけてもらった。補聴器を通して上司の声をきく。 「先ほどは、ステージで不備があり申し訳ございませんでした」 ふーん。ステージで不備があったのね。よくわかんないけど。 そう思って手話通訳を見ると 「先ほどお配りした指定資料に、不備がありま

じぶんの時間をどうするかは、じぶんできめなくてはならない。

本当にこれでよかったのだろうか。この決断をする代わりに、大きなものを失ったような気がするんだ。考え抜いて出した決断なのに、実行したそばから、失ったものを考えては涙が溢れそうになる。 去年、就職してすぐから、わたしはおかしくなった。休日に山手線を見るだけで涙が溢れてきたり、涙が溢れそうになったという理由で退勤したり。それでも、仕事は好きだし責任を感じていた。 だというのに。10月に入っていよいよ「行きたいのに行けない」現象に悩まされるようになった。 ちょっと夕方良くなっても