2022年8月発災の一酸化炭素中毒事故・備忘録
一酸化炭素中毒に関する重要な労働災害ですが、書き留めておかないと忘れられてしまいます。また、同業他者への注意喚起しにくくなってしまうので、このnoteにて残しておきたいと思います。
なお、企業名は本質的な情報ではないので、記載していません。(情報元にいけば、見ることはできますが…)
まとめると、防止のために必要だったことは、下記2点になるかと思います。特に新規性がない話ですが、基本に忠実なことが重要ということかと思います。
一酸化炭素ガスが発生する機器を使用するときには換気設備を併用する。
警報装置・アラームが動作することを確認する。
当初の事故報道概要
当初報道における不明点
当初の報道からすると、食堂における何らかの作業において一酸化炭素が発生した労働災害事故と思われました。
しかし、いくつか疑問がありましたので、追加で調べていました。
食堂における作業(調理と思われる)で一酸化炭素が発生するのか?
発生する作業は定常的な作業か?
定常的な作業であれば、一酸化炭素災害を防止する器具(換気扇や警報)は作動したのか?
同様な災害防止のための情報
これらの情報は、当該企業内では共有され、再発防止のための教訓になっていると思います。
しかし、それが外部には一般に出ず、水平展開が不十分となります。そのため、本noteにて情報をまとめておきます(いずれ厚労省の労災データベースには載るとは思いますが…)。
追加の報道から得られた情報
事故後3日目の報道では、より詳細な情報が記載されていました。
この内容から、ガス動力食洗機から発生した一酸化炭素であること、及び、換気設備は作動していなかったことがわかります。
また、警報装置についても下記の報道がありました。
警報装置・アラームは動作していなかったようです。
必要だった対策
一酸化炭素ガスが発生する機器を使用するときには換気設備を併用することを徹底することが必要でした。併用できなかった(しなかった)ミスが生じた原因については、報道からはわかりませんが、内部では調査がされているものと思われます。
また、警報装置・アラームが動作することを定期的に点検することも必要です。最終の点検時期が不明なので、今回の災害での寄与度はわかりませんが、こちらも内部では把握していることと思われます。
また、これらよりも根本的な対策についても考えたいと思います。
より根本的な対策(1):機器取り替え
洗浄室で用いる機器をガス動作ではない機器に取り替えると良いと考えます。特に、⾃然換気が不⼗分な場所(換気⼝の無い屋内作業場等)での内燃機関を有する機械 の使⽤は、法令(労働安全衛⽣規則第578条)により禁⽌されています。
発災の原因となった機器がどのような物か分かりませんが、電気により動作する機器への取り替えは検討すべきと考えます。
より根本的な対策(2):機器の改造
換気設備が動作していないことが問題でしたが、スイッチを連動させるという改造は、同様の発災防止に役立ちます。つまり、換気設備のスイッチを入れないとガス動作機器のスイッチが入らないという改造です。さらに、警報装置の正常動作もガス動作機器の作動条件にすれば、発災確率をかなり小さくすることができます。
このようなフールプルーフな設計への変更が必要になると考えます。