無添加ってなにさ
海外メーカーと話をしていた時、日本に来た時の話をしてくれました。
「テレビ取材で日本の食品工場に行ったけど、驚いたよ。
どれも何というか、不思議な味がしていて素材の味がしないんだ。
正直に言うわけにもいかなくて美味しいって答えたけどね」
私は彼が出ていた番組をたまたま見ていました。日本の「最先端」工場を見学した海外バイヤーが衝撃を受けると言う流れで、彼らが口を揃えて絶賛する吹き替えがついていました。
さて、彼らの言う変な味とは何か?これは欧米人全般が日本の食べ物を口にした時に覚える「海藻の様な、何とも言い難い味」だそうです。
私は子供の時、調味料の味を片っ端から味見して一つだけ同じ感想を持った経験があります。いわゆる「うま味調味料」です。
欧米では「うま味調味料」(MSG)を入れる食品は少なく(無いわけではない)、シンプルな素材に大量に入っている事に驚くようです。
2022年3月30日、日本の消費者庁は食品添加物の不使用表示に関するガイドラインを発表しました。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf
要約すると、「無添加」「化学○○」「天然○○」と言う文言を使ってはいけません(砂糖無添加のガム等、具体的な使用は良さそうです)。「無添加なので健康に良い」など、添加物と健康を結びつけるなどの書き方も禁止となります。
普段、食べる物で「無添加」を売りにしているのに、「海藻の様な味」が強い食品がとても多いのは、皆さんお気づきだと思います。看板を見れば「無添加」「四大添加物不使用」など誇らしげに書かれています。なぜでしょう?それは「無添加」の基準が極めて曖昧だった為、店頭で「無添加」と書いたり、裏面一括表示の原材料欄に「調味料(アミノ酸等)」と書かずに使える「旨味成分」がたくさんあるからです。
ここで一つ、お断りしておきますが、私は「うま味調味料」や「添加物」が身体に悪いと言うつもりは毛頭ありません。世の中には「これ危険!食べるな添加物!」的なデタラメ記事で荒稼ぎ活躍している方も大勢いらっしゃいますが、書かれていることはほとんどが専門知識の欠落した、想像記事です。
ただ、そういう記事を鵜呑みにして「安全だから」「無添加」の食品を選んでいても、本来の意味で「無添加」な食品は極めて限られる上に「安全とは何ら関わりがない」事を知って頂きたいのです。
メーカー(商社)の自己弁護と思われるかも知れませんが、2022年4月現在弊社取り扱い商品で主原料以外で塩や油以外が入っている商品はありません。以前取り扱っていたフランスのキャンディーにはタール系色素が使われていました。もちろん、裏面一括表示に記載しています。
でも、無添加をアピールはしません。(選択肢があって選ぶ事はあります)。なぜかと言えば、添加物の有無と商品の質は直接的には無関係だからです。美味しい物を選んでいったら、結果的に「うま味調味料」を含む添加物が入っていなかったと言うことです。キャリーオーバーでも入っていません。
※キャリーオーバーとは主要原材料として添加物を使わなくても、その原材料を加工する段階で使用したものが入る事をさします。
この入ってしまった添加物は「記載しなくて良い」事になっており、これを上手く使うと、表面上は無添加でも添加物を使用する事が可能になります。
軽い気持ちで書き始めたら長くなってしまったので、続きは次回に