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カニローグ、セカコロ決勝トップ8レポート

(2020/11/29 《死住まいの呼び声》の採用理由等を追記)
(2020/11/29 サイドボーディングガイド追記)

はじめに

本稿はSekappy COLOSSEUM(セカッピー・コロシアム、略称セカコロ)の決勝トップ8レポートです。
決勝内で見れば大した成績ではないですが、フィーチャーで負ける瞬間しか映っていなくて悲しい気持ちになったのでなんとしても書き残して置きたいという気持ちの下この記事を書いています。加えて緑単フードから浮気したみたいなことも言われた気がするので思考を書いておかないと損かと思いました。

デッキ選択

デッキ選択締め切り当日。デッキ選択は全く絞れておらず、

「ブン回れば何者も寄せ付けない上ロングゲームもこなせる」グルール
「《神秘の論争》を最も上手に使える」ローグ
「緑系アグロにある程度戦え、必殺技もある」オボシュランプ
「一次予選突破した」緑単フード

以上の4つから選ぶだろうな、と思っていました。
第一に思ったのは、「強者相手に慣れてないデッキで殴り込む」なんてことはとてもできないということ。具体的にはヨーリオン系、ラクドスエスケープなどです。逆説的に、使ったことのあるデッキしか持ち込む気はなく、結果上に挙げた4つが候補となりました。

しかし、4つのどれも相応に選びたくない理由もあり、

グルール
・メタのトップオブトップで、当然意識したデッキが多数あることが推測される
ローグ
・《アゴナスの雄牛》が2マナで8枚も追放してくる
・グルールに別に有利じゃない
オボシュランプ
・《神秘の論争》擁して細かく殴ってくるローグがキツい
緑単フード
・ランプに不利(基本《精霊龍、ウギン》で全て御破産)
・ラダーで負けまくり

といった理由で、どれを選択するかを頭の中が駆け巡っていました。どれも利点はあるが、どれも相応に不利デッキがあることが想像でき、締め切りまでひたすら結論は出せず。


結局締め切りに追われる形で選択したのはカニ型ローグ。

スクリーンショット 2020-11-27 20.23.51

デッキ名からも全く決め切れてないのが察せますね

ある程度メタが狭いとはいえ、どんなデッキが持ち込まれるか分かったものじゃない状況で打ち消しを握れるというのはあまりに甘美でした。
打ち消しを握るという点においては青黒コントロールもありますが、先述した通り慣れていないデッキで出場するのは忌避感があったのと、神秘の論争》はローグデッキの方が強く使えるためこちらを選択しました。1マナ浮かせるという行為は軽い攻め手のあるローグの方が簡単に行えます。
加えてローグといってもおよそカニ型とザレス型がありますが、ミラーにおいてはカニ型の方が強いのでカニ型を選びました。
基本的にはPetr Sochurek選手のデッキを参考にしています。変更した点は以下の通りです。

神秘の論争》:メイン1,サイド2
・リスト公開制のため、1枚でもメインにあった方が良いと思った
・結局マナ要求カウンターなため、終盤に引くと機能しないという点において4枚は過剰に感じた
凪魔道士の威圧》:メイン2,サイド2
・グルール相手に必須でこそあれ、大会の大半を占めるデッキではないだろうと思ったため
死住まいの呼び声:メイン1
・ローグミラー、ラクドスなど黒い除去で対処してくる相手に効果的な1枚
・二次予選突破デッキにローグが多く、またラクドスも2人いたため採用
・1マナ+2マナで釣ることがもっぱらだが、《夢の巣のルールス》を釣ることもあるいぶし銀

大会当日

起きて出席確認をして、リストを見ていました。確認した分布として、

ザレスローグ4/カニ型ローグ2
緑単フード2
グルール1/グルールt青1
ティムールランプ1/オボシュランプ1
サイクリング1
赤白ビート1
ラクドスエスケープ1
ゴルガリミッドレンジ1

といった様相で、カニ型ローグを選んだのが正解のようで一息ついていました。ただ二次予選をラクドスで抜けた方が変わらずラクドスで絶対に当たりたくない、と考えていました。
そうした流れで高橋優太さんのリストを見た時、事件が起こりました。

2 切り裂かれた帆

と書かれていて「メインに!?2枚も!?」となりましたが、そのすぐ上に

3 神秘の論争

とも書いてあって見間違いかと思って目線を右に向けて土地欄を見ると、

2 河川滑りの小道
1 island

などと書いてあって崩れ落ちました。ただでさえ有利と思えないグルールにこんな青い飛行デッキ殺しを目の当たりにして「ラクドスに次いで当たりたくねえな……」と思っていました。


R1 グルールt青(高橋優太)

……なんであたるの????

メインは見事に《切り裂かれた帆》が当たりまくり、《エッジウォールの亭主》2体でライフを危険域まで下げられ、ここさえ耐えれば攻勢かと思ったところに《山火事の精霊》+《寓話の小道》+《エンバレスの宝剣》でゲームエンド。手札の《血の長の渇き》が泣いていました。
サイド後も3T《運命の神、クローティス》から詰め切られ、全く良いところなく敗北。

R2 ティムールランプ
有利対面を引け、マッチも順当に勝利。
相手もさるもので《発生の根本原理》二連打のような攻勢を仕掛けられましたが、同量のカウンターを引くことができ、相手の脅威を潰し切ってライフやライブラリを削り切りました。
サイド後は《アゴナスの雄牛》が複数枚入りますが、下20枚でようやく1枚めくれる、といった幸運もあり押し切れました。

R3 ラクドスエスケープ

…………!!!!?? ディミーアローグと当たっていたはずでは……!?

ディミーアのはずでは

公式ツイートから引用・編集

わかりやすく不利なマッチ2回目、これは終わったかと思いますが、メインは落ちていく相手の脱出持ちカードを《塵へのしがみつき》でごまかし、なんとかビートを完遂して勝利。メインに入れておいた《死住まいの呼び声》が輝きました。サンキュー威迫カウンター。
サイド後は《遺跡ガニ》などを減らして《スカイクレイブの影》によるビートを狙うこととなりますが、やはり勝手にライブラリを削る奴は抜き切れず《死の飢えのタイタン、クロクサ》や《アゴナスの雄牛》が落ちていきます。なんとか今回もしがみつきで対処……していきますが、5マナ払っての雄牛キャストや《ロークスワイン城》でリソース差がどんどんついていく状況。しがみつき自体は墓地のカードを対処しているだけですから、徐々に状況が悪くなっていきます。しがみつきによって相手の《砕骨の巨人》によるリーサルのターンをずらし、なんとか相手の攻勢を捌いていると、トップしたのは凪魔道士の威圧
そのまま《砕骨の巨人》を奪い取ると相手が対処できず勝利。

R4 緑単フード
裏フィーチャー。不利デッキのあとは強いプレイヤー、一次予選でもこの流れ見たぞ。
メインは4Tに手札を使い切るブン回りで、なんとか除去しようと出てくる《意地悪な狼》もカウンターでき、食物も大量に生成されなかったため《貪るトロールの王》起動スタックで追放し、そのまま勝利。
サイドは《魔女のかまど》→《金のガチョウ》→《漁る軟泥》と動かれるものの、《無情な行動》+《塵へのしがみつき》で処理でき、相手が土地トラブルに見舞われるのを尻目に手札が繋がり、ライブラリを削る・カウンターなどを噛ませ、悠々と《物語への没入》をキャストできる状況になり勝利。

R5 サイクリング
以前にローグを使ってて当たった際にLOで勝ったことがあり、「まあ有利じゃない?」と思っていました。
ただしそれは、考えているボロスのままなら、でした。

青赤エンチャ

青赤白の形を取って入れられた《型破りな協力》が、ローグ、殊に場に出たエンチャントに対処できないカニ型ローグに著しく効果的です。
飛行1/1トークンはおよそ全ての戦力に相打ちを取れ、《空飛ぶ思考盗み》も3体にブロックされうる状況では殴れたものではありません。

メインは狐も協力も出ず削り切ったものの、サイド後は狐→不吉な海→紅蓮術師と動かれ全く触れず負け。
そして3本目、《島》《寓話の小道》《盗賊ギルドの処罰者》《否認》《湖での水難》《スカイクレイブの影》×2をキープ。2Tの処罰者を除去され、3T目。土地を引けず、影を出すか否認を構えるかのどちらかの選択。エンチャントを出された瞬間一気に傾くため構え、タップイン処理+《型破りな協力》キャストで否認で打ち消せほっと一息。……が、4T目またも土地を引かない。しかたなく影をキャストしビートを開始。なんとか小道は引くものの、どうしても2アクションが取れず相手を攻められない。
なんとか4枚目を引いて影2体でのビートを敢行。青1マナ浮きで唱えられた4ドローを通し、相手の残りライフを4に。除去がひたすらに寄ってくる。
相手が《夢の巣のルールス》をキャスト。墓地には協力があり、キャスト+ドローで浮きが青1マナとなるため、返しで土地を引けば除去連打で勝つため通し。
そして協力をキャストせずエンドフェイズに移行。

ここで何の逡巡もせず水難をルールスにキャスト。
結果
神秘の論争で打ち消され、挙句《天頂の閃光》でライフも高水準に逃れられます。

ルールスを除去するものの、協力から2ドロー目が連鎖し続け敗北。

自分のセカコロ決勝はトップ8で幕を閉じることとなりました。

大会を終えて

やはりサイクリング相手の3本目プレイが悔やまれます。
おそらく、そのままもらって2体でアタックが正しかったと思います。
相手はルールスで相打つか閃光を打つこととなり、前者はトップした影で状況変わらず殴り続けられ、後者は水難を抱えたままルールスを除去できます。
これらの選択ができていたとしても協力は通ってしまうため、いずれにしてもかなりキツい状況ではありますが、水難が論争にかからない状況での攻勢を維持し得ると考えればそちらの方がベターな選択だったでしょう。

やはり巧者の壁は厚いものがありました。勝てなくはない引きの時にどれだけ勝機を引き寄せられるか、という点で当たる相手全員が間違いなく自分より上手で、最終試合では見事に激突した形となりました。
次は自信を持ったプレイをできる状態となって臨みたいです。こうした舞台にまた立ってみたい、と改めて実感しました。

サイドボーディングガイド

簡潔に決勝で当たり得たデッキ相手のサイドボーディングガイドを記しておきます。
相手のリストによって変更の余地がある場合が結構あります。

ミラーマッチ
IN 《スカイクレイブの影》×4 《神秘の論争》×2 《本質の散乱》×1
OUT 《マーフォークの風泥棒》×4 《遺跡ガニ》×3

スカイクレイブの影》をサイドに積むことが主流となった今、大体スカイクレイブの影》同士のダメージレース及びそれに伴うリソースの削りあいで、攻める側が攻め切れないと立場が一瞬で逆転します。
テンポが重視される試合であることから、塵へのしがみつき》をサイドインすることはおすすめしません。脱出コストで唱えてキャッキャする暇があったら大抵別のカードで勝ってます。入れて1枚、何なら抜いてもいいかもしれません。
・《凪魔道士の威圧》は、相手が《夢の巣のルールス》型であればサイド後の追加に一考の余地があります。ルールスを奪えた途端多大なリソース差が生まれるためです。同じくリソースを稼ぐカードである《物語への没入》との入れ替えも検討すべきでしょう。ただ、青いカードなので《神秘の論争で打ち消されるリスクがすこぶる高いことは忘れないでください。

グルール(先手)
IN  塵へのしがみつき》×2本質の散乱》×1 凪魔道士の威圧》×2
OUT
遺跡ガニ》×3神秘の論争》×1  死住まいの呼び声》×1

グルール(後手)

IN 塵へのしがみつき》×2 《魂標ランタン》×1本質の散乱》×1 凪魔道士の威圧》×2
OUT
マーフォークの風泥棒》×2 《空飛ぶ思考盗み》×1神秘の論争》×1 死住まいの呼び声》×1 《アガディームの覚醒》×1

・今じゃもう全員《アゴナスの雄牛》やら《灰のフェニックス》やら入ってるので追放手段を用意しないと簡単に負けます。
先手であればビートダウンを完遂しきる可能性はあります(そのため《遺跡ガニ》をサイドアウトします)が、後手は不可能です。除去や凪魔道士の威圧》による減速を狙いましょう。
マーフォークの風泥棒》や《空飛ぶ思考盗み》を抜くのは奇妙に見えるかもしれませんが、これらは後手だと十分な機能を果たせないからです。厳密にはデッキが違いますが、決勝でも先手後手が出る場面がありました(リンク先youtube公式放送)
・《死住まいの呼び声》は《焦熱の竜火》や《漁る軟泥》、《運命の神、クローティス》で簡単に機能不全になります。

緑単フード
IN  塵へのしがみつき》×1 《魂標ランタン》×1本質の散乱》×1 凪魔道士の威圧》×2 《否認》×1
OUT
マーフォークの風泥棒》×2 《遺跡ガニ》×3神秘の論争》×1  死住まいの呼び声》×1

貪るトロールの王》に加え、絶対に《鎖巣網のアラクニル》が入ってくることから、追放手段を追加投入します。
急いで切削する必要もなく、逆に助ける可能性もあることや1マナで出される《鎖巣網のアラクニル》に撃ち落とされることからこれらのクリーチャーを減らします。
追放手段と《否認》の枚数のバランスは相手のデッキ構成によって変えてください。《グレートヘンジ》に加え《怪物の預言者、ビビアン》のようなPWも入ってきますし、特に先手は2ターン目の《パンくずの道標》を打ち消せるため入れる価値は大いにあります。

ラクドスエスケープ
IN 塵へのしがみつき》×2 《魂標ランタン》×1本質の散乱》×1 スカイクレイブの影》×4凪魔道士の威圧》×2
OUT
マーフォークの風泥棒》×4 遺跡ガニ》×3神秘の論争》×1 《無情な行動》×2

・現環境ワーストマッチアップ。メインは大抵ライフを削るよりライブラリを削ること(=処罰者や思考盗みを複数枚引く)を主軸に置いた方が現実的に勝ち目があります。
サイド後は基本《スカイクレイブの影》によるビートダウンとリソースの削りあいとなります。相手に息をつかせたら負けです。祈りましょう。

ティムールランプ
IN 塵へのしがみつき》×1本質の散乱》×1 否認》×2 神秘の論争》×2 
OUT
血の長の渇き》×3 凪魔道士の威圧》×2 死住まいの呼び声》×1

※一口にランプと言っても《獲物貫き、オボシュ》を相棒にした型や《精霊龍、ウギン》を5Tに出すことを至上とするいわゆるrizer型などがあるので一元化はできませんが、およそこういうサイドボーディングになると思います。

・有利なマッチアップ。打ち消し呪文を構えてどついてやりましょう。
大抵《血の長の渇き》は4マナ除去になるので優先して抜きます。
相手も《アゴナスの雄牛》やら《垣間見た自由》やら入れてくるのである程度の追放手段の増量は必要です。
スカイクレイブの影》は入れてもいいかもしれませんが、それほど有効ではないです。相手の除去は大抵追放するものですし、骨太なクリーチャーが万一にも通った瞬間ビタ止まりで、それらが早いターンに出てこない保証は一切ないです。
・多分ヨーリオンにも似た感じのサイドボーディングをします。

レポートは以上となります。読んでくださりありがとうございました。

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