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対話力を高める
コミュニケーションの仕事には
対話力が求められると感じる。
一方的な説明ができても、
対話となると急に苦手意識を持つ人もいる。
特に相手の反応が薄い場合や
逆に優位性を誇示するような相手の場合
どうも身構えてしまうようだ。
対話力を高めて欲しいとメンバーに伝えているものの、
抽象的で分かりづらいかもしれないと思い
少し因数分解してみたくなった。
対話力には色々な定義があるとは思うが
私は表面的なスキルではないと思っている。
対話には毎回のコミュニケーション努力がいると思う。
相手と正対する力である。
スキルよりもメンタルに関係している気がする。
都度、正対するための場づくりをしていくこと。
日常でもビジネスの打ち合わせにおいても同じである。
私なりに対話力に含まれそうな要素を4つ挙げてみた。
・場をつくる力
・聴く力
・質問する力
・伝える力
場をつくる力
対話するには、話しやすい空気作りから始まると思う。
表情はもちろん、雰囲気も仕事力の一部である。
聴いたり話したりする前に
ノンバーバルな情報も含めて
この人に話しかけても大丈夫とか、
信頼できそうだと思ってもらわないとならない。
柔らかい表情も求められるだろう。
ただ顔つきや語感が柔和なだけではなく
しっかりと受け止めてくれそうだという安心感もほしい。
人は身勝手にも見ず知らずの相手に
多くを要求する生き物である。
私は20代前半によくバックパッカーとして
異文化に飛び込むことがあったが、
価値観や生活習慣が異なる人を目の前に
最初に行うこととして培われたのが
自分の鎧を脱ぐことであった。
自分は危険な人物ではないし、襲ったりもしない。
一人の人間としてあなたに興味があって
いろいろと話をしたいと思っている
という素直な思いをぶつけてみること。
人の印象が決まってしまう最初の7秒にかける。
ビジネスでも同じだと感じることがある。
どうしていいか分からなくなったら
まずは笑顔で挨拶から始めてみればいい。
我々の仕事では空気感は読むのではなく
つくるものだと思う。
聴く力
場の空気感ができた後に求められる対話力要素が
目的や状況を把握するための聴く力であると思う。
相手の話をそのまま聴くことは実は難しい。
聴くというのは、耳だけではなく
体も心も相手に時間を使うこと。
BGMのように相手の話を耳で流しながら
頭の中では次に何を言おうかと先走ってしまっている場合は
人の話を聴いている風に見せて
実は自分の次の話の順番を待っているだけ。
ただの会話であれば、自分が思ったことを口にすれば良いが
対話は相手を理解して、信頼関係を構築することに重きがある。
そのため、まずはしっかりと全身で受け止めたい。
たまに相手の顔を見ずに耳だけで聞いて
自分のパソコンに向かってメモらしきものを
取っている人に遭遇するが、
身体ごと向き合って欲しいと感じる。
傾聴するというのは身体で聴くことだろうと思う。
また自分の考えと違う内容に遭遇すると
つい自らの尺度の方が正しいと思いたくなるのだが
それは相手の立場で話を聴いていないことになる。
以前、エンパシーについて触れたが
(エンパシーに関する過去の投稿はこちら)
勝手な自己解釈ではなく
相手の真意をどれだけ理解できるか、
相手の靴を履くという傾聴は未だ私も修行の身である。
質問する力
聴きながら並行して大切だと思うのが
相手の意図を確認していくこと。
こちらが把握できていることを相手とすり合わせるには
質問して確認していくことになる。
聴いたことを更に深く理解するための問いかけ。
また理解したことが合っているかを確認するための投げかけ。
発する言葉の表面的な意味を受け取るだけではなく
相手の立場や置かれている状況を知り、
理解したことを咀嚼、要約していく。
対話は互いの認識をすり合わせるプロセスであるので
聴いたまま確認をしないと誤解やズレが発生してしまう。
人は自分の知っている範囲で理解しようとしたり、
経験に照らし合わせて勝手に憶測して判断してしまう。
私もまだまだ足りないと内省することがある。
相手の理解とともに、自分の思考も整理しながら
ヒアリングしていくことが肝要であろう。
たとえば以前、当社にご相談のあった
SNSでの動画制作をしたいという企業。
よくよくお話を聴くと
代表交代のタイミングで組織の重要な節目であることを知った。
最終的に動画制作で応えるにしても
まずは企業理念の策定や幹部社員の意識統一であることを
質問によって深め、視点を広げながら確認していった。
質問を重ねていくと、クライアントが依頼していることは
やった方がいいウォンツではあるけれど
根本の課題を解決するニーズではないことが見えてくる。
そのようなコミュニケーションの上流に辿るには
質問力が鍵となる。
伝える力
質問をし、確認をとりながら
最終的には自分の解釈を
相手に伝えていく力が対話力には含まれる。
特にビジネスでは目的をもって対話をするので
相手が伝えようとしている言葉から
その目的や意図をすり合わせ、
認識に差がないかを確認するために伝えていく。
相手が言った言葉をそのまま繰り返す
オウム返しも良いが
別の言葉で表現することで
相手の真意に近づく判断材料が増えていく。
特に考え方、価値観、こだわりなど
見えにくいものについて話すときには
あえて相手が使った言葉ではないもので
伝えることで認識のすり合わせが加速する。
やたらと難しい言葉を使う必要はなく、
相手に理解できる言葉を選んでいるかもポイント。
自分の業界では当たり前の言葉も
馴染みのない人には伝わらない。
具体的な表現や例え話も、伝える力に含まれる。
また話す速度、間の取り方、抑揚や強調、
表情やしぐさなど言葉以外の伝わり方もある。
そのような要素が相まって対話力が高まっていく。
対話で認識をすり合わせる
日本は島国文化でもあり
察することが求められることもあるが、
多様な考え方や価値観の重要性が謳われる時代において
察することは単なる思い込みや
勘違いに帰結してしまうことがある。
また一人の人間が常に同じ考え方や
価値観で居続けるものでもない。
出会う人、触れる本、向かう旅によって変わっていく。
そのため、常に対話力を持って
すり合わせていくことが大切である。