TCHを知ってるか?
帝京平成大学?
今回もくだらない話ではあるが、先日歯医者に罹った際の話である。
歯医者のカウンセリング内で、口腔内の筋肉のつき方に違和感があるということで、表題の症状を疑われたのだが、自分にはピンと来なかった。
TCHとは「歯列接触癖 (Tooth Contacting Habit)」という、いわゆる癖(くせ)である。
カウンセリング中の質問の内容としては「口を閉じている時に”噛む”動作をする癖はありますか?」というもの。
私の脳内では「力強く噛んでいる図」が思い浮かんでいたため、「そのような覚えはない」と回答した。
そこで、一度は「同症状ではないか」となったものの、カウンセリングを続けて行くうちに、どうやら先ほどカウンセラーが言っていた「"噛む"動作」というのは、歯と歯が触れる程度のことを指すらしいということが分かった。
それだけでも歯には相当な負担がかかり、咬筋・胸鎖乳突筋・僧帽筋の疲労や歯の欠け・ひび割れ、ひいては歯周病の進行に影響するということで、この癖は治した方が良いとのことだった。
それを聞いて、私は全身から血の気が引いていくのを感じた。
なぜなら私は閉口している際、常時この状態だったからだ。
歯と歯が触れ合っていない時間などない。常に触れ合っている。
そしてそのことを人生で意識したことは一度たりともなかった。
これが全人類に共通するものではなく、一部の人間にのみ見られる「治さなければならない悪癖」であるいう事実を受け止めるまでに少し時間がかかった。
それでもなんとか受け入れたが、直後襲ってきたのは「この癖を治さなければいけない」という重すぎる試練だった。
治せるわけが無さすぎる。無意識中の無意識で行われている。気を抜いた瞬間に歯と歯が触れ合う。これを治すということはつまり、「一瞬たりとも気を抜くな」ということなのか?まるで戦場での心得である。
流石にそんなわけはないと思い、カウンセラーに治せるわけがない理由を説明したが、「治すしかない」という言と共に一枚のリーフレットが手渡された。
そこにはTCHの概要が簡単に書かれていた。その中に治療法について書かれている項目があった。一縷の望みをかけて、恐る恐るその項目に目を通すとそこにはこのように書かれていた。
何を言っているのかわからない。正気か?
無理だ。無理すぎる。少なすぎる、情報が。足りなさすぎる、安心感が。 それで治ったら苦労はしないのではないか。
など、不平不満が脳裏をよぎり、カウンセラーにも伝えてみたが、どうやらこれしか道がないらしい。
到底治るとは思えないが、不満ばかり口にして何も行動しないよりは、やってみることが大事なのかもしれない。
そう思い、歯医者から帰宅してすぐ自分の行動範囲に付箋を貼り、毎日定刻に「歯をはなす」という通知が来るようにスマホを設定した。それらを行なっている最中も「本気か?」と思いながらではあったが、黙々と行なった。
これでこの癖が治るようなことがあったら、それはきっと人類にとって大きな一歩なので、なんかインタビューとか受けたい。
それとは関係なく、この年齢でこの治療遍歴は絶句するレベルだし、現在も口内環境が非常に悪いと言わざるを得ないと担当医からバッサリ言われたので、歯磨きとか頑張ろうと思う。
あと、歯茎へ行う麻酔は基本的にそんなに痛くないが、前歯だけはかなり痛いこともわかった。ちょっとビックリした。