柔らかく温かく
節分を過ぎると光が柔らかい色に変わり田んぼの線をなぞる日射しも優しく微笑んでいる。こんな日に散歩できるのはしみじみと嬉しい。
「ずっと君を照らして来たよ。真っ暗な闇を持っていた子どもの頃からね。やっとここまで歩いて来たね。どうだい?今の気分は。」
そんな声が光から聴こえてくる。
「うん。ずいぶんと自由になったよ。」
思い返し、伝えてみる。
歩いていると雪が温まってサラッと氷が解ける香り、ほのかに漂う。その空気をそっと吸い込んで「ありがとう。」と呟く。
静かな凛とした一月かの雪から、こなれた木綿のような雪に変わっていく二月。ふと気付くと家に入る日射しも滞在する時間が少しずつ長くなって、月も心なしか真珠のような光。あ、満月だね。杉の木立からぼやけた輪郭の月が覗いている。
雪の下に水は流れてもうすぐ鳴くであろうフクロウの春を待つ。
まぁ、今は盛んにキツツキが働いているけどね。