#2DOWN TOWN/シュガー・ベイブ【ロック向こう正面】
小学生のころコロコロコミックが愛読書だった。
日本一分厚い!をキャッチコピーに、全盛を極め、「ドラえもん」の主要連載誌としての役割のみならず、「ゲームセンターあらし」「あさりちゃん」「名たんていカゲマン」「とどろけ!一番」などバラエティあふれる連載で小学生を魅了していた。
中学に入りラジオから流れる音楽に夢中になると、兄の影響で愛読書はFMレコパルにとってかわった。当時、飯島真理さんの関連番組「レコパル~音の仲間たち」という番組もあり、誌面と合わせて聞いていた。
達郎さんの【MELODIES】がリリースされた83年、FMレコパルの中で達郎、
大貫妙子、伊藤銀次、村松邦男がかつてバンド仲間だったという記事に遭遇する。前作【FOR YOU】に続く達郎さんの期待の新作【MELODIES】。
いわずと知れたあの「クリスマス・イヴ」初出のアルバムである。
達郎さんの活躍のみならず、大貫さんも「夏に恋する女たち」のドラマ主題歌がヒットし、新譜【SIGNIFIE(シニフィエ)】の発売待ち、銀次さんも佐野元春さんのアレンジやハートランドでの活躍、アン・ルイスさん「ラ・セゾン」「LUV-YA」アレンジやジュリーのエキゾチックス関連アレンジ、さらに村松さんも大滝作品参加のほか、シャネルズのアレンジなどで脚光を浴びていた。EPOさんのデビュー曲であり、ひょうきん族のエンディング曲として大好きだった「DOWN TOWN」。
一方、別バージョンらしい男性の声が、たまにラジオでかかっていた。
ぜったい達郎さんの声に間違いないのだ。しかし、曲紹介を聴くと山下達郎とは言っていない。そもそも達郎さんの曲かどうかもわからない。レコパルの記事によって、それがシュガー・ベイブなるバンドの曲だと判明する。
その興味深い記事と前後してレコパルのQ&A欄に運命の質問が載る。
75年リリースのシュガー・ベイブ唯一のアルバム【ソングス】はまだ売っているのか?という質問だった。編集部の回答は「まだ販売している」と。ご丁寧にレコード番号付きの神対応。
83年当時、大滝さんがエレックに創設したナイアガラはコロムビアを経て、
ディストリビューションがCBSソニーに移行していた。【ロンバケ】も【トライアングルVOL.2】もCBSソニーからのリリースだった。
レコード番号:CBSソニー27AH1240。旭川のミュージックショップ国原に電話で注文し、1か月後バスで往復3時間かけて受取に行った。私はすぐにこのLPのトリコになった。擦り減らないようにカセットに落として聴く。ちょうど46分テープに収まった。
やはり「DOWN TOWN」の破壊力はバツグンだった。これほどウキウキするロックがあるだろうか。“七色の虹”をリスペクトして“七色のたそがれ”と詠んだ銀次さんのセンス。村松邦男さんのイントロ及び中間部のギターソロ、そこに絡むクラヴィネット。
2009年の厚生年金2階の最後尾席で「DOWN TOWN」を体感した。たしかアンコールだった。佐橋さんが弾く名イントロを浴びる。気が付くと私は泣いていた。あれ以上の音楽的高揚感はいまだに経験していない。